ヤクルト期待の広岡大志内野手(20)が今季初実戦で猛アピールした。15日の練習試合・韓国ハンファ戦(浦添)で2安打1打点2盗塁。宮本ヘッドコーチが侍ジャパン稲葉監督に“未来の候補”と推薦した3年目が、激戦区遊撃のレギュラー奪取に名乗りを上げた。

 ピンと立てて構えた白木のバットが、広岡の体に巻き付くようにボールをとらえた。2回2死では、138キロを鋭く左前へ。4回1死二、三塁では変化球をしぶとく中前に落として、チームに初得点をもたらした。「1本目は練習通り。2本目はたまたまです」と、少しだけほおを緩めた。

 “山田2世”といわれるのは、背筋を張って構えるまでの所作が似ているだけではない。宮本ヘッドコーチは「長いのが打てる可能性を秘めた選手。良いものをもっている」と認める。何よりも「うまくなりたい気持ちがすごく出ている。何より体力がある」と、向上心と体の強さを買う。

 今キャンプでは“強化指定選手”の1人で、連日午前8時には球場に到着する。練習漬けの日々の中「疲れがたまると体が重くなるので」と工夫を凝らす。マッサージやストレッチはもちろん、宿舎では湯船にお湯をはってつかり、筋肉の緊張をほぐす。「少しでも疲れを残さないように」と遊撃手争いを制する自覚は十分。走っても2盗塁と躍動したのは偶然ではない。

 スイングスピードを上げるためにバットを振り続け、手のひらにはまめがつぶれた痕が目立つ。練習中に声を出し続け、声もかすれ気味だ。それでも「結果で恩返しできるように」と首脳陣だけでなく、侍ジャパン稲葉監督からも受ける期待に応えようと必死だ。「結果を出さないといけない立場。開幕にレギュラーでいけるように。食らいついていきたい」。イキのいい20歳が、変革真っ最中のヤクルトを熱くする。【浜本卓也】