貫禄さえ漂う。楽天則本昂大投手(27)が、DeNAとのオープン戦に先発。今季初実戦で、3回1安打無失点と結果を残した。3月30日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、2年ぶり5度目の開幕投手を務めるエース。大役へ向けて盤石な仕上がりのように見えるが、あえて厳しく自身の投球を見つめた。「直球は50点ですね。空振りが取れていない。球質やコントロール、キレというところが」と満足してはいない。

 そんな直球でDeNAの主砲をねじ伏せたが、もちろん浮かれることはない。筒香とは、1回2死走者なしで対決。試合前に「打たんといてくれよ」と先制“口撃”。「打てないですよ」の答えに、初球からこの日の最速151キロをぶつけた。続けて150キロ。最後も150キロと3球全て直球勝負で遊飛に仕留めた。「実戦の最初にしては良かった方だけど」。アウトは取ったが、あくまで空振りの取れる直球を目指す。

 三振を取る過程にも、こだわりがあった。3回2死一塁から桑原を落差のあるフォークで三振に仕留めたが、「ウイニングショットは1球。まだ高い」。3球で追い込みながら、フォークを3連投した結果に納得していない。昨季4年連続奪三振王に輝いた男は、完璧さを求める。

 3月の侍ジャパンの強化試合を経て、18年のスタートの舞台へ進む。梨田監督は「順調に仕上がっている」と目を細めた。チームの顔としてふがいない姿を見せられない。そんな強い責任感が、則本の初実戦に詰まっていた。【栗田尚樹】