オレも譲らん！　阪神小野泰己投手（２３）が７日のオープン戦ＤｅＮＡ戦（甲子園）に先発し、５回２安打無失点で開幕ローテ入りを猛アピールした。課題だった変化球の精度も上がり、ストライクゾーンから落ちるフォークは抜群。日本代表の４番筒香から空振り三振を奪った。チームはオープン戦開幕５連敗で最下位となったが、若手投手の先発バトルは頼もしい限り。前日６日の才木に続く好投で、５、６番手候補の４投手は全員オープン戦無失点で争っている。

　ストライクゾーンからストンと沈んだ。小野が投じたワンバウンドのフォークに、ＤｅＮＡ筒香のバットが空を切った。侍ジャパンの４番を務める男も思わず手が出て空振り三振。立ち上がりの１回２死でいきなり進化をみせつけた。「しっかり腕が振れて、たたけました」。５回を投げ２安打無失点の力投。最速１４９キロの直球とのコンビネーションで躍動した。

　課題克服への道を着実に歩んでいる。３回には下位打線から２者連続の空振り三振。１５戦で２勝７敗だった昨季と比べ「追い込んでからのフォークがゾーンにいったりしていた。今日はそれが１球もなかった」と手応えを口にした。直球頼みだった昨季の姿はない。打者１５人に対し、３ボールになったのは２人だけ。変化球でカウントを奪うなど無四球で終え、球数もわずか５１球。「ストライク先行でテンポよく投げられたと思います」と笑った。

　意識高く過ごしたキャンプの成果だ。「１球もムダにせずに過ごせた」と少しだけ胸を張る。１球を大切に、感覚、展開も想定して腕を振ってきた。「キャンプでも実戦でも毎回課題が出た。それを克服してシーズンに入れれば。１年間１軍で投げ続けるという思いでやっていく」。慢心はなく、課題として変化球の精度や制球を挙げることも忘れなかった。

　これで激戦を極めるのは先発ローテ争いだ。前日６日には２年目の才木が４回無失点と好投。岩貞とドラ２の高橋遥も結果を残し５、６番手争いは激しさを増す。小野自身は実戦計１４イニング無失点としたが、ライバル３人もオープン戦に限れば無失点で意地の張り合いが続く。金本監督は「小野はもうちょっと、いい真っすぐを投げられる」とあえて注文を付け「いい争いをね。才木とか藤浪とか岩貞にしても。枠は決まっていますからね。（抜け出している選手は）う～ん、ないな」とハッパを掛けた。激しい争いが相乗効果を生み、底上げにつながる。成長を見せつけた力投で、小野もファイティングポーズをつくったままだ。【池本泰尚】