満塁弾で開幕1軍に前進した。巨人のドラフト5位田中俊太内野手(24=日立製作所)がソフトバンク戦で、3点を追う8回にオープン戦1号となる逆転満塁本塁打を放った。新人のオープン戦満塁弾は14年3月の小林以来。日頃から準備の重要さを認識するルーキーは、5打数3安打4打点と大爆発。試合前シートノックで打球が顔面に当たるアクシデントに負けず、強烈にアピールした。

 イケイケの流れを逃さなかった。3点を追う8回、田中俊の狙いはシンプルだった。「思い切って引っ張れる球を待ってました」。制球が定まらないソフトバンク野沢から作った無死満塁の好機。カウント2-1、133キロ直球がど真ん中に来るとバットを振りぬいた。「前の打者が積極的にいって、その流れに乗らせてもらった」。絶好球を仕留め、逆転の満塁弾を右翼スタンドへと運んだ。

 結果を出すための準備を怠らない。この日は今季オープン戦9試合目で2度目の先発出場。数少ないチャンスを生かすため「いかに質の良い準備ができるか。準備をしっかりしなければ結果は出せない」と意識する。試合で活躍するためのルーティンにティー打撃でのゴロ打ちがある。自らの目の高さほどの球を、バットを立てて打つ。「打つ時に左肩が下がる癖があるので体を平行に回すように意識付けとしてやっています」と社会人時代からの練習法で備えを忘れなかった。

 アピールは1発だけでなかった。3回には昨年最多勝のソフトバンク東浜から二塁打。吉川尚と正二塁手争いを繰り広げるが、高橋監督は「本当にいいものを見せてくれた。キャンプの紅白戦、オープン戦、内容ある打席が多くて、継続できている」と評価した。

 この日の試合前シートノックで打球がイレギュラーし、顔面に直撃。大当たりの1日に「出られる状態だったので」と笑ったが、3安打4打点で開幕1軍に前進したのは確か。オープン戦は残り9試合。「出してもらうチャンスがあれば、準備した上で思い切っていきたい」と生き残りへの準備を整える。【島根純】

 ▼ルーキー田中俊が8回に逆転の満塁本塁打。オープン戦で新人の満塁本塁打は、14年小林(巨人)以来4年ぶり。逆転の満塁弾も小林以来だ。ドラフト制後、本塁打を記録した巨人の新人は今年3月4日の大城に続いて16人目だが、満塁弾は76年山本功、10年長野、前記小林に次いで4人目。ちなみにドラフト制以前では、58年長嶋が7本塁打、59年王が5本塁打を1年目のオープン戦で打ったが、満塁弾は打てなかった。