2000安打へGO砲! ソフトバンク内川聖一内野手(35)が中日戦で今季オープン戦初安打となる1号2ランを放った。左ふくらはぎを痛め出遅れていたが、5試合目、14打席目にして快音が響いた。内川の1発を号令に9回は中村晃、川島がアーチをかけて逆転サヨナラ。オープン戦の連敗も8でストップした。内川が打てば勝つ。今季偉業まであと25本とする、頼れる4番が目覚めた。

 打った瞬間、確信した。3点を追う8回2死一塁。中日岩瀬の甘く入ったスライダーを捉えた。打球の行方を見つめながらゆっくりと走りだす。内川の顔から白い歯がこぼれた。オープン戦5試合目、14打席目でついに出た初ヒットは豪快に左翼席に達する1号2ランとなった。

 「入ったなと思いました。打つ、打たないは自分でどうにかするしかないけど、試合の流れの中で、打たないのは迷惑をかけていた。1本出て良かった」

 内川の1発が反撃ののろしとなり、1点差の9回には中村晃の同点ソロと、川島の3ランで逆転サヨナラ勝ち。6日から続いていたオープン戦の連敗を8で止め、内川も「ホッとしたところもあるし、チームの勝利に貢献できて良かった」と胸をなで下ろした。

 チームも主砲の快音を待っていた。直前の打席で内川は三塁へのゴロに全力疾走。際どいタイミングでアウトになり、工藤監督が初めてリクエストを申請した。結果的にアウトのままだったが「(ヒットが)付くんだったら早いほうがいい。願いも込めていったんですけどね」と思いを込めていた。ベンチでは、仲間からの祝福がやまなかった。内川は「こんなに気を使わせてたんだな、と思った。みんなが声をかけてくれてうれしかった」と照れながら振り返った。

 試合前には、この日からヤフオクドーム内の施設でスタートした「内川聖一特別展示 ~歩んだ道のり そしてその先へ~」を視察。高校時代、大分大会で準優勝になった際の銀メダルを見て「あのときの悔しい気持ちを思いだして、初心に帰る思いですね」と話していた。メダル効果もあって!? 飛び出した待望の1発だった。

 「この流れをまた明日につなげられるように。打たなきゃいけない打順を打たせてもらっている」

 通算2000安打まであと25本として今季を迎える。偉業への1本、1本がチームに影響を与える4番。その重責を力に18年目のシーズンに向かう。【山本大地】