プロ野球は今日30日、セ、パ両リーグが開幕する。DeNA筒香嘉智外野手(26)は、本拠地のヤクルト戦で開幕に臨む。横浜スタジアムでは今季から、日産自動車の看板3カ所に直撃本塁打を打てば、球場のリリーフカーと同じ同社の新型リーフが贈られる。必要な飛距離は推定150メートル。フォーム改造に着手し、よりパワーアップした筒香なら十分に射程圏内。20年ぶりに優勝した暁には、歓喜のパレードで先頭を走る意気込みだ。

 右中間スタンドの先にある標的を見上げながら、筒香は頭の中で特大アーチを描いた。照明の鉄柱にある「横浜生まれ」と書かれた看板。直撃には最低でも推定で150メートル弾が必要だ。「ん~。試合だとまた感覚が変わってくるんですけど、思いっきり当たれば、飛んでいくんじゃないですかね」。今の筒香が持つ打撃感覚から、十分に射程圏内だとはじき出した。

 昨季から設置された日産自動車の看板は、右中間、左中間とスコアボード最上部の3カ所にある。今季から直撃すればリリーフカーに使用されている新型リーフ1台が贈呈される。「看板に当たるような大きな場外ホームランを打てば、ファンの皆さんに喜んでもらえますから」と不敵な笑みを浮かべ、左打者には現実的な右中間に狙いを定めた。

 実績があるから、その言葉が自然と現実味を帯びてくる。16年7月12日の中日戦、右翼席最上段にある「鳩サブレー」の看板に推定140メートル弾を直撃させた。今ではゆるキャラ鳩兵衛が看板上で「イテッ。ここに当たった」と“証言”。同日には右中間場外へ155メートル弾も披露した。取り組んでいる新打法が完成すれば、可能性はより高まる。

 横浜高から入団9年目のシーズンが始まる。プロ選手として生まれ育った横浜での開幕は初(東日本大震災による変則開幕だった11年は除く)。「100%のパフォーマンスを出せるように準備したい。その勢いで優勝して、パレードはこのリリーフカーに乗って先頭走れるよう頑張ります」。20年ぶりの頂点へ、静かな口調でエンジン全開。Vロードを突っ走る。【栗田成芳】