阪神金本知憲監督(49)が開幕G倒へエンジン全開指令を出した。29日に東京ドームで前日練習を完了した指揮官は「アイドリングマックスで行ってほしい」とナインを鼓舞。「日本NO・1の投手」と評する巨人先発菅野撃ちへ気合を込めた。オープン戦は打撃陣が低調で最下位に沈んだが、この日の練習では主力が柵越えを連発。ナインの底力を信頼し、開幕G倒からの開幕ダッシュを目指す。

 東京ドームの外野席は哀れだ。阪神が開幕前日練習でG倒のリハーサルに臨んだ。糸井が、ロサリオが、高山も面白いように柵越えを連発。何度も座席にぶつける衝撃音が響く。金本監督も冗談交じりに笑った。「半分以上、甲子園だったら入ってないなあ」。オープン戦打率は11位の2割2分5厘に終わるなど貧打から抜け出せず、最下位に沈んだ。不安を感じさせない打者の鋭い振りだった。

 今日30日、東京ドームでの伝統の一戦で金本阪神の3年目が幕を開ける。三塁側ベンチにどっしり腰を落とした指揮官は、いまの思いを明かす。「リラックスはないですよ。逆に、だんだんだんだん、プレッシャーになる」。現役時代から鉄人の異名を取った勝負師ですら、武者震いするのだ。この日の選手の表情を問われると、こう指摘した。

 「普段通りじゃないですか。普段通りではいけないんだけど、こういう日は。1年の始まりですからね。ちょっとバチッと気合を。フル回転というか、気合だけはね。プレーは落ち着いてやればいいと思うけど、気持ちだけはアイドリングマックスで行ってほしい」

 さあ、エンジン全開にして発進せよ!! 1軍ナイン27人に闘志を求めた。最善策を尽くして、本番に臨む。「不安より、やってやるぞの方が強い」と胸を張る。2月の沖縄・宜野座キャンプ終了時には「過去3年間のなかのチームでは一番強いと思っています」と手応えを口にした。3月のオープン戦で先発陣もそろい、新戦力への期待も大きく、上積みを見込む。

 「若い選手とロサリオあたりはね(先発では)小野とか、高橋遥人とか、若い選手は、かなりやってくれそうな気がしています」

 今季の初陣は、昨季、完封負けを喫するなど1勝2敗、防御率1・74と苦戦した菅野が相手だ。指揮官は言う。「日本NO・1の投手なので、そんな打てるとは思っていない。打って自信にしてほしい。(開幕戦は)普通の143分の1とは違う面もあります。チームとして出足を大事にしたい」。そして「僕は執念を持って戦わせるだけです」とも。13年ぶり優勝に向けた長丁場の戦いに、全身全霊を尽くす。【酒井俊作】