夢を正夢にした。DeNAドラフト1位の東克樹投手(22)がプロ初登板で7回6安打1失点の力投。打線の援護なく黒星デビューとなったが、テンポ抜群のマウンドさばきをみせた。力強い直球にスライダー、チェンジアップ、カーブを効果的に配し「1人1人の打者と勝負が出来た。楽しんで投げられたと思う」とうなずいた。

 初回から全力で腕を振った。先頭の高山を、この日最速の150キロで空振り三振。降板した7回まで球威は落ちず、計9三振を奪った。それでも「狙った三振はなかった。メッセンジャーに比べて球数が多かった。打たせてとる方がいいかなという部分がある」と冷静に足元を見つめた。

 2日の夜、マウンドに立つ夢を見た。相手は巨人。「最後、陽岱鋼さんをピッチャーゴロに抑えて、7回を1失点に抑えたんですよ」。普段は野球の夢は見ないというが、鮮明に記憶に残った。「これが阪神戦で現実になればいいですね」と初々しく笑っていたが“有夢実行”の投球だった。

 課題も残った。打たれた6安打中5本が左打者。4回の失点も、1死一塁から福留に浮いたカーブをたたかれた二塁打が響いた。「1球の重みを痛感した」という左腕。「まだ1試合だけ。自信にはならないです」。慢心なく次戦を見据えた目。112球に大きな期待を抱かせた。【佐竹実】