日本の「ホームラン・アーティスト」が、ついに目覚めた。DeNA筒香嘉智外野手(26)が、広島3回戦で2打席連続で本塁打を放った。6回に先制の1号2ランを右翼スタンドに運び、7回にはバックスクリーンへ文句なしの2号3ラン。通算19度目のマルチ本塁打で、全5得点の打点を挙げて今季初の2連勝に導いた。

 打球はマウンドの真上を通過し、一直線にセンター上空に抜けた。7回、筒香が放った2号3ランが描いた、大きな放物線に、赤一色のスタンドからは諦めのようなため息が漏れた。真ん中低めのシュートをはじき返し、角度、飛距離ともに申し分のない1発はバックスクリーンど真ん中に吸い込まれた。6回には難しい内角球に鋭く回転し右翼スタンドのギリギリに1号2ラン。ともに「ホームラン・アーティスト」らしい豪打だった。

 全5得点を自らのバットでたたき出し、今季初の2連勝。しかもセ・リーグ2連覇の広島に敵地で勝ち越した。お立ち台に上がると「調子のいいカープに、何としても勝ち越して帰るつもりだった」と言った。借金4で乗り込んだマツダスタジアム。スロースタートで波に乗り切れていなかったが、やはり主砲が打てばチームは自然と勢いづく。

 開幕から8試合目の31打席目で初本塁打が生まれた。キャンプから試している棒立ちのような構えを、今回の広島遠征に入って再びマイナーチェンジした。「しっくりきていない部分もあるし、試行錯誤。そんな簡単には変えません」。3月17日オリックスとのオープン戦で変えて以来約1カ月ぶりに、また少し膝を曲げて重心を左足に乗せた。キャンプでは「50~60打席入れば、なじんでいくと思う」と言っていた。オープン戦の38打席と合わせると、ちょうど実戦感覚が研ぎ澄まされてきたタイミングだった。

 沖縄・宜野湾キャンプインと同時に生活スタイルを変えた。午後9時に就寝し、午前4時に目を覚ます。2月は朝日が出る前からまだ薄暗い宜野湾球場の周辺を散歩した。「朝早く起きると気持ちいいんですよ。試合が始まると夜は遅くなるけど、朝は変わらず早いですね」。シーズンが始まっても規則正しいサイクルで野球に集中している。

 試合前には、ロペスと2人で球場の三塁側コンコースにあるゴリラの巨大バルーン(写真)と一緒に記念写真を撮った。そのパワーにあやかって? 生まれた2発。「そろそろロペスが打ってくれると思います。明後日が楽しみですね」。10日から東京ドームでの巨人3連戦で再び大暴れする。【栗田成芳】

◆DeNAラミレス監督 言っていた通りになった。今年はブレークする年。爆発的な数字を残すと思う。40本以上は打てる

▼筒香が今季1号を含む2本塁打。筒香の1試合2本塁打以上は通算19度目だが、シーズン最初のマルチ本塁打をチーム8試合目でマークしたのは14年の19試合目(4月20日広島戦)を上回る自己最速となった。筒香の1試合5打点以上は16年9月23日巨人戦(5打点)以来2年ぶり。