DeNAが6連勝で単独首位に立った。好調の中日を相手に追いかける展開も7回に逆転成功。きめの細かい野球で試合の流れを引き戻し、終盤で鮮やかにひっくり返すケースが目立つ。アレックス・ラミレス監督(43)が目指す1点を取り、1点を守る野球が浸透しつつある。

 際立つDeNAの終盤力は、先発石田が投じた113球目に凝縮されていた。

 2点を追う7回。裏の攻撃は石田からで、無失点でのベンチ帰還が絶対条件の続投だった。無死二塁、1死三塁とピンチが続き、中日京田が投ゴロ。本塁アウトで俊足が一塁に残った。

 1ボール1ストライクとなり、探りのけん制球を2球、挟んだ。ここで一塁側ベンチが静かに動いた。光山バッテリーコーチがラミレス監督にささやき、監督は無表情で、小さくうなずいた。

 3球目。クイックモーションで投じたが京田は迷わず、抜群のスタートを切った。ベンチの指令を受けたバッテリーは、盗塁阻止を狙って大きく外すピッチドアウトを選択。「光山サンのアイデア。『やってみましょう』と。その通り、うまくいった」とラミレス監督。悠々アウトで上げ潮を作って切り抜け、裏の逆転へつなげた。

 左腕の技巧派に分類される石田は、昨季106イニングを投げて盗塁を6度企画されたが、3個しか許していない。しかし今季は、この場面までに5度企画され、4個のスチールを許していた。この試合でも1回京田、5回には大島に走られていた。研究を進めた相手が盗塁を企画してくると冷静に読んで、逆手にとって流れを変えた。

 元気のいいDeNAがもっと上にいくには…。不可欠と自覚していた繊細さが随所に出た。3回、一塁からタッチアップに成功した倉本は「一塁で上田コーチに『行け!』と言われて。思い切って」。7回は石田の代打・乙坂が11球粘って四球で出塁し、足を絡めて逆転成功。ラミレス監督は「スピードを使った野球、スモールベースボールができた。キャンプから取り組んできて、去年できなかったことが、使えている。相手も『DeNAはちょっと違う』と思っているのでは」。偶然で終盤の逆転は続かない。ちょっとではなく、18年版DeNAはかなり違う。【宮下敬至】