阪神先発のドラフト2位左腕・高橋遥人投手(22)はぼうぜんとセンター方向を見つめ、固まったように動かなかった。5回無死二、三塁、岡本に外角の直球をバックスクリーンに放り込まれた。直後、交代を告げられると、視線を落としベンチへと戻った。

 「先発として短いイニングで降りてしまったのは、本当に申し訳ないです」

 プロ入り後初めての伝統の一戦で洗礼を浴びた。4回0/3で9安打7失点(自責点6)。11日の広島戦(甲子園)のプロ初登板初先発で7回無失点と堂々の投球で初勝利を挙げた。新人がデビューから2戦2勝なら2リーグ分立後球団初。あの村山実氏でも成し得なかった快挙だったが、期待されていたマウンドで苦い初黒星を喫した。

 自慢の直球をはね返された。3回までは1安打に抑える好投をみせたが、1点リードの4回につかまった。無死二塁からゲレーロに投じた外角高め145キロの直球をとらえられ、一塁線を破る同点適時二塁打。そこから崩れて立て直せず、岡本、亀井、小林にも適時打を浴びた。この回5安打を集中され、「真っすぐを打ち返されたのは力不足です」と悔しさをにじませた。

 初登板に比べて調子は良くなかった。香田投手コーチは「前回より腕の振りはもう一つで、コントロールもばらつきがあった」と指摘。この日は直球を狙い打たれ、苦しい展開となった。「(得意の)スライダーが少なかった。バッターが嫌がるボールを投げる工夫も必要」と課題を挙げた。高橋遥も「ピンチの時は力だけではなくて、厳しいところに投げられる練習をしていきたいです」と反省した。

 巨人に渡した流れは食い止められず、リリーフ陣も打ち込まれ今季最多の10失点。被安打16本も今季ワーストで満員の甲子園にため息が充満した。高橋遥は今日23日に登録を抹消される見込みで、次戦は今季初の9連戦中である、5月3日DeNA戦以降の登板になる。敗戦の悔しさをバネに巻き返したい。【古財稜明】