日本ハムのドラフト1位ルーキー清宮幸太郎内野手(18)が「スター・ウォーズのテーマ」で登場し、プロ初スイングで初安打を放った。「6番指名打者」で2回2死走者なしの初打席、カウント1-1から外角高め直球を中堅フェンス直撃の二塁打とした。デビュー戦は3打数1安打で、敗戦も輝きを放った。93年5月1日、巨人松井もデビュー戦でフェンス直撃二塁打で初安打をマーク。ルーク・スカイウォーカーによる、ゴジラを超えるスター街道の第1歩が記された!?

 時が、来た。2回2死走者なし。映画「スター・ウォーズ」のテーマに乗って、清宮が悠然と打席に立った。「いつも通り、平常心で打席に入ることができました」。足が震えるような緊張とは、無縁の男だ。直球、カーブと見送って、3球目。プロ初スイングでリーグを代表する右腕、楽天岸の145キロ直球を捉えた。低い弾道で伸びた打球は、中堅フェンス上部にドスンと激突。あとわずかで本塁打という、記念すべき二塁打に「うまく打てました。手応えは、まあまあでした。初心に帰る時に、このヒットを思い出せたら」。ゴールデンウイークのまっただ中、背番号21が主役になった。

 開幕から34日目。1軍デビューまでの道は苦難続きだった。オープン戦の最中、限局性腹膜炎を患い、約2週間の入院を余儀なくされた。一時は手術も検討されたほどの重症で、体重は8キロも落ちた。オープン戦、2軍戦と、なかなか安打が出なかったが、1軍初打席で結果を出すのだから、さすがは高校通算111本塁打の注目ルーキーだ。

 忘れられない記憶がある。04年に日本で行われたメジャー開幕シリーズ。ヤンキース対デビルレイズの2戦目、当時ヤ軍の松井秀喜を一目見ようと、東京ドームに4歳の清宮も駆けつけた。「小学校に上がる前だと思いますけど、すごく覚えています。ヤンキースの松井秀喜さんがホームランを打ったんです」。打った瞬間、右中間席に突き刺さった弾丸アーチに憧れた。

 ファンの期待に応えてこそ、スター。その松井が、巨人時代にプロ初本塁打を放った「5月2日」に、くしくも初安打を記録した。清宮も「今まで聞いたことがない歓声で、うれしかった。甲子園とも神宮とも違う」と高ぶった。ただ、安打はマークしたものの、試合は敗れた。自身は3打数1安打2三振。「楽しめた。いろんなことが詰まり過ぎた1日。チャンスでまわって来ていたので打てていたらと思うと悔しい。チームを勝ちに導けるように、チームのために尽くすだけ」と反省の弁ながら、充実した表情で語った。

 スターの「道」へ踏み出した第1歩。初々しくも力強い輝きは、多くの野球少年たちの心に、生涯忘れられない記憶として残ったはずだ。【中島宙恵】