大詰めを迎えている東北地方の大学野球3リーグ全18大学(1部)の新入生を、今週、来週の2回に分けて特集します。前編は仙台6大学173人と、南東北大学139人。仙台6大学で2季ぶりの覇権奪還を目指す東北福祉大では、昨夏の甲子園優勝投手でもある綱脇慧(花咲徳栄)、春夏甲子園8強の三浦瑞樹(盛岡大付)、佐川光明(仙台育英)、椋木蓮(高川学園)の「1年生投手カルテット」が活躍中だ。

 先陣をきったのは、昨夏に大阪桐蔭を破った左腕の佐川だった。東北福祉大の開幕となった東北工大1回戦で打者1人をピシャリ。「当てても良いから右打者の内角に直球を投げていく意識をしています」。先月23日の宮城教育大戦では、無死満塁の場面を無失点に抑えるなど、2戦3回1/3を1安打3奪三振無失点だ。

 佐川に続いて東北工大戦では右スリークオーター椋木も、完全に抑えて試合を締めた。ストッパーとして全7戦中6試合に登板。計7回1/3で4安打9奪三振で無失点。「とにかく1人1人を抑える積み重ね。最速は147キロまで上がっています。まだ短いイニングですが、先発も任されるような信頼を勝ち取りたいです」。オープンを戦通じても、失点がなく優秀新人賞の候補にも挙がっている。

 昨夏の甲子園では背番号10で全6戦に先発した綱脇は、先月30日の東北大戦で初登板初先発した。3回を投げ、1安打無失点。「甲子園優勝投手と言われて見てもらえるほうが気合が入るし、だから絶対に打たれないんだというくらい上から打者を見下ろして投げたい」。右上手から最速141キロの直球に、カーブやスライダー、チェンジアップなど変化球も多彩だ。

 同戦で三浦も1回1安打無失点。エース左腕として春夏連続8強を導いた実力を示し「高校生と大学生はオーラが違うが、逃げずに投げたい。1年生3人にも負けたくない」と勝ち気な面も見せた。

 大塚光二監督(50)も「4人はうちの投手陣の10本の指に入る。肝もすわっている。大事に大きく育てたい」と絶賛。タイプの違う4投手が、全国舞台への原動力となる。

 ◆仙台大 「甲子園2戦連発男」川村友斗内野手(北海)は、先月15日の東北大戦で先発デビューし、3打数2安打1得点と大暴れした。「使っていただいた試合で全力を尽くすだけ。4年生の姿を学習して、目に焼き付けておきたい」。清宮世代の長距離砲として、経験値をさらなる成長につなげるつもりだ。また、松本胤紀捕手(取手松陽)は指名打者で開幕スタメンを奪取。11打数2安打と活躍中だ。

 ◆東北公益文科大 関優太外野手(小諸商)と伊東凜太郎捕手(大分)の1年生コンビが開幕先発をつかんだ。2人とも長打力が自慢。関は「苦しい時に1本打ちたい」と頼もしい。先輩投手を冷静にリードし、6季ぶりの開幕4連勝に導いた伊東は「死ぬ気でプレーして、チームを引っ張る」と意気込む。【取材・構成=鎌田直秀、高橋洋平】