日本ハム上沢直之投手(24)が、4年ぶり完封で4勝目を挙げた。9回を4安打に封じ、プロ初完封した14年9月15日オリックス戦以来、2度目の完封勝利。また、7番左翼で先発出場した清宮幸太郎内野手(18)は7回無死に中堅への大飛球が相手失策を誘い、1-0勝利の決勝点の起点となった。チームは首位西武に連勝し、2・5ゲーム差に迫った。

 上気した頬が、最後に和らいだ。1点リードの9回2死一、三塁。上沢は「簡単に完封ってできないんだな…」と自嘲気味になりながら「でも、これを抑えたら完封できる」と、もう一踏ん張りした。外崎を、この日さえたカーブで投ゴロ。駆け寄ってきた捕手清水に、もたれかかって抱き合った。「あそこまでいったら球数とか、どうでも良い。今ある力を全て出し切ろうと思った」と133球目に、白星を懸けた。

 西武の“山賊打線”に、イメチェンで投げ勝った。序盤は140キロ後半の伸びのある直球が軸。「直球で押してイメージをつけられた」と中盤以降はフォームやカーブで緩急差をつけ、揺さぶった。4安打に封じ「首位を走っているチームに1-0の完封。自分でもビックリ」と喜ぶと、栗山監督から「今日は(上沢)ナオの頑張りが全て。西武打線をゼロに抑えることは簡単じゃない」と、たたえられた。

 プロ初完封勝利の14年9月15日のオリックス戦以来となる完封。当時は3年目で1軍デビューしたばかり。「あの時は、いろんな人に支えられて野球をやっているとは思わなかった」と慢心もあった。早々にエース格として期待されながら16年に右肘手術。1年間、投げられない時を2軍投手コーチらと過ごした。「今、こうやってしっかり投げられるのは僕だけの力じゃない」と変わった。

 今季は好投を続け4勝目。チームは首位との直接対決に連勝しゲーム差2・5に縮めた。ヒーローインタビューでも「野手の方に助けてもらっている。今日は頑張れて良かった」。強く芽生え出した献身的な思いが、上沢を突き動かしている。【田中彩友美】