金本阪神が久々の快勝だ。Bクラス低迷の大きな要因となっている打線がついに爆発した。ウィリン・ロサリオ内野手(29)、糸井嘉男外野手(36)の2者連続アーチを含む、13試合ぶりの2桁安打で8得点。先発ランディ・メッセンジャー投手(36)のハーラー単独トップ7勝目をアシストした。今年1月に亡くなった元監督・星野仙一氏の故郷倉敷で、うっぷんを晴らすような快勝劇。浮上へのきっかけにしたい。
狙いを絞ったロサリオは甘い球を逃さない。倉敷の夜空に打ち上げた白球は、逆風を切り裂いて左翼スタンド中段に突き刺さった。11試合ぶりの4号2ランに主砲が久々に笑顔を取り戻した。
「チームを助けるために、いつでも準備しているので結果が出てよかった」
大飛球を左翼で見送ったバレンティンと、試合前にはこんなシーンがあった。
練習を終えたロサリオは、バレンティンのもとに歩み寄る。日本で3度の本塁打王を獲得した極意を探るように10分ほど話し込み、来日8年目助っ人からアドバイスを受けた。
バレンティン 全てのボールが簡単に打てるわけでもないから、全てを狙いにいくのではなくて、打てる球を絞って打ち損じのないように。あとはメンタル面。(体調面より)メンタル面の方が調子を左右することが大きいよ。
子どものころ夢中になったものに「勉強」と答えるほど研究熱心な男。学習成果は、すぐに実った。8日巨人戦(東京ドーム)で看板直撃の特大アーチを放って以来の1発。本塁を踏んだ瞬間に、天を見上げて両手をバシン。渾身(こんしん)の力で放った本塁打に喜びを爆発させた。
整理整頓のできる助っ人だ。だからこそ? アドバイスも頭で整理し、力に変えられる。使用する用具にはこだわりがあり、複数のタイプを交代で使う。バットにミット、打撃手袋やアンダーウエアの種類も多々ある。チームメートがロッカーを見て「あんなに種類があるのに、整っている」と証言するほどだ。
この日は1打席目にバットが折れるとモデルの違うバットに取り換えた。2打席目にも、また違う種類の“相棒”を持って打席へ。そこで生まれた号砲にネクストで待つ糸井とジャンプで体をぶつけて“祝福タックル”だ。続く5番糸井にも1発が飛び出して今季初の2者連続アーチ。お立ち台では「(糸井は)ほんとにすごい選手だと思ってましたし、2人でホームラン打つのはほんとに最高です!」とハイタッチや握手で健闘をたたえ合った。2人が勢いをもたらした打線は13試合ぶりの2桁安打で8得点。闘牛が、超人とともに反撃に出る。【真柴健】
▼阪神打線が11安打。チーム2桁安打は、5月5日中日戦11安打以来、13試合ぶり。
▼3回にはロサリオ、糸井が2者連続本塁打。今季チーム初で、17年10月10日中日戦7回の福留、大山以来。なおこの試合の先発投手もメッセンジャーだった。