首位広島の新井貴浩内野手(41)が今季1号を含む5打点の大暴れだ。1回、巨人吉川光から左越え3ラン。大卒1年目からの20年連続本塁打は稲葉(日本ハム)以来2人目となった。故障で出遅れ11日に満を持して1軍昇格したばかり。今季4試合目の出場で、同3本目の安打が本塁打。絵になるバット投げを披露した大ベテランが、2位巨人撃破に導き、ゲーム差を再び4・5に広げた。

 新井が雨のひたちなかで躍動した。1回、田中の先頭打者弾に続いた。1死一、二塁で吉川光のカーブを左越え3ラン。豪快なフォロースルーを披露した。

 「自分のいいスイングができた。チャンスだったので、走者をかえせて良かった。得点圏だったし、積極的にいこうと思った」

 駒大から入団し、プロ1年目から本塁打を20年連続で積み上げた。2年目から記録した阪神金本監督に「20年」で肩を並べても「偉大な先輩なので、並んだとは思ってないよ」と照れた。41歳3カ月でのアーチは球団最年長。石井琢朗の41歳0カ月を抜いた。

 4回にも大ハッスルだ。同じく1死一、二塁から一塁線を破る2点適時二塁打で点差を広げた。そして本塁送球の間に三塁へ突進した。間一髪セーフの激走も試合後は「普通、普通」とケロリ。1試合5打点は2年ぶりだった。

 御利益がたっぷり詰まった? 一撃だった。水戸が県庁所在地の茨城らしく、昼食には牛丼に納豆をのせて食べた。そして試合前には好調の野間にベタベタ。「始まる前にいっぱい野間に触ったからね。そのおかげかな」と、ちゃめっ気タップリに振り返った。

 左ふくらはぎ痛で14年ぶりに開幕1軍を外れた。今月11日の合流までの離脱期間は、助言を求める後輩に惜しみなく手を差し伸べた。「2軍の若い子がうまくなりたいと思うわけだから、自分も昔を思い出して応援したくなる」。逆にエキスを注入しながら、体が「うずうずしていた」というリハビリを乗り切った。

 5月23日の1号は、プロ2年目以降で最も遅い。待望の1発に、緒方監督も「やっぱり新井さん。大きな3ランだった」とたたえた。ここからペースを上げていく。【大池和幸】