阪神中谷将大外野手(25)が、今季最多4万6703人の観衆の前で跳び上がった。「心臓バクバクでした。サヨナラを打ったことが初めてだったので、どう喜んだらいいか分かんなかった」。同点の9回2死一、二塁、巨人沢村が投じた真ん中低めの143キロの変化球を左前にはじき返した。二塁から糸原が生還。プロ初のサヨナラ打で、今季初の4連勝に導いた。

 昨季はチーム最多の20本塁打を放ったが、開幕前から不調に陥り、長く2軍が続いた。「ファームにいる時、ファンの方々の『早く上がってこい』という言葉が励みになりました」。22日に出場選手登録され、4試合続けて先発出場。今季初めて主軸の5番に起用され、声援への感謝の思いを込めた一打だった。

 今季初のサヨナラ勝ちで今季初の巨人戦のカード勝ち越し。金本監督は「選手を信じたといいますかね。僕も弱気になってはダメだと。絶対打ってくれるという気持ちでいたので。中谷がよく応えてくれました」と振り返った。貯金1で3位浮上。目標の勝率5割以上で交流戦に突入する。苦しみながら戻ってきた背番号60が、阪神を加速させていくに違いない。【古財稜明】