エースが力強く戻ってきた。「日本生命セ・パ交流戦」6試合が行われ、パ・リーグ首位の西武は左肩の機能低下から回復した菊池雄星投手(26)が約1カ月ぶりに先発。150キロオーバーの直球を連発して悠々と阪神を封じ、6回無失点で6勝目を挙げた。チームは日本ハムと並んで今季30勝に一番乗り。幸先良く6月のスタートを切った。
荒々しい菊池が戻った。1点をもらった直後の2回、自らの失策と暴投から2死三塁を招く。江越を迎えギアを上げた。2球目のインハイ153キロを振らせて追い込むと3球勝負を選択。フィニッシュはさらに上をいった。狙った内角より真ん中に入ったが、吹き上がる軌道の球威が勝った。自己最速に1キロと迫る157キロ。バットは空を切った。「腕が吹っ飛ぶぐらい振りました。久しぶりで地に足が着かない感じ。落ち着くまではガンガン振った方がいいのは経験上、分かってました」と打ち明けた。
開幕から6戦5勝。結果はついたが、3試合で5失点。打線のおかげは分かっていた。何より、生命線の直球に納得できなかった。「かばいながら投げている」から、140キロ台前半にとどまっていた。5月4日の楽天戦後、自分で首脳陣に再調整を申し入れた。
菊池 葛藤はありました。この先、同じ形で10月までいけるのか。投げることは出来たと思う。でも勝ち方がある。あのままでは、僕も、周りも面白くない。
昼下がりの西武第2球場。1軍がナイターに向け準備するメットライフドームをバックに、心中を吐露した。チームメートが意を強くしてくれた。離脱を伝えたら、みんなが「帰ってくるまで首位にいるから。しっかり治して」と言ってくれた。「休ませてもらう責任がある」と奮い立った。
診断は左肩の機能低下。筋肉の動きがバランスを欠いていた。「使えてない筋肉を使えるよう“再教育”です」。トレーニングと併せ、投球フォームの微調整にも着手した。この日は150キロ超が計32球。「今季初めて自分の球がいった。やっと100%、打者と戦えました」と言えた。
6回92球で交代。次はリミットなしでいく。お立ち台で「優勝しか考えてません。10月、皆さんと笑えるように」と張り上げた。葛藤の末の決断が正解だったと、秋に証明する。【古川真弥】



