ベテラン右腕の声は枯れていた。

 ソフトバンク摂津正投手(36)は、9回1死二、三塁のピンチをしのぎ切ったストッパー森の熱投にベンチで声をからした。2点差を守りきっての逃げ切り勝利。宇佐見を右飛に仕留め、先発摂津は今季2つめの白星を手にした。

 「調子はよかった。何とか試合をつくることはできたけど、もっと長いイニングを投げないと」。4回に岡本のソロ本塁打と陽の適時打で2点を与え逆転を許したが、3者凡退で切った5回裏に女房役・市川の2号2ランで逆転。6回、長野、岡本を内野ゴロに仕留めたところでマウンドを嘉弥真に譲った。

 直球は最速145キロを計測。自慢のカーブに、決め球シンカーなど「硬軟」駆使して巨人打線をかわした。618日ぶりとなった復活勝利を挙げた5月22日の西武戦(ヤフオクドーム)から登録抹消を経て登板した5日のヤクルト戦(神宮)では3回5失点(自責4)KO。3度目の先発マウンドはベテランらしい粘投106球だった。「常に最後だと、そういう気持ちでやっています。全力で、壊れてもいいくらいの気持ちで」。

 沢村賞、最優秀中継ぎ賞、最多勝…。幾多のタイトルを手にしてきた男の雪辱マウンドは、まだまだ続く。