「ソン・チャーホウです」。楽天の宋家豪投手(25)が、念願のプロ初勝利を挙げた。2年前に結婚した台湾の同級生シンフェイさんがスタンドで見守る中、初のお立ち台で「サイコーデース」を3度絶叫した。「奥さん、見に来ていた。うれしいね。ウイニングボールあげる」と笑った。

 16年にこの球場で楽天戦を見学した。エース則本、守護神松井の投球に「厳しい環境。(ここで)成り上がりたい」と育成契約からの挑戦を決めた。日本語の家庭教師を付けた。武器の150キロを超える直球に加え、新たにフォークを習得し、投球の幅を広げた。平石監督代行は「こいつは大物になると思った」と入団当時を懐かしむ。昨季途中に支配下を勝ち取った。全く話せなかった日本語は上達。そして、思い入れのある場所で初勝利を飾れた。

 久米島春季キャンプの休日に、突然長髪のパーマを丸刈りにしたり、「ホームページには92キロ。本当は100キロ超えちゃった。中学の時は、イケメン。今はただのデブ。頑張る」と話すなど、無邪気な笑顔が特徴的だ。同僚の菅原がウインターリーグで台湾へ行った際には、現地のグルメから観光までガイドする心優しい一面も持つ。

 今は仙台市内で一緒に住む妻シンフェイさんには「苦労させられない。日本で成功しないと一緒に住めない」と昨年途中まで、仙台-台湾の遠距離恋愛で愛を育み、野球に打ち込んできた。「奥さんかわいいよ」。うれしそうにシンフェイさんの写真を眺めていた男が、チームの浮上に欠かせなくなる。【栗田尚樹】