巨人が首位広島に大敗を喫し、ゲーム差が6・5に開いた。大切なカード頭の先発をドラフト1位の鍬原に託すも、1回にもらった4点を守れない残念な内容。3回もたずにKOされた後も、中継ぎが打ち込まれた。シーズン折り返しを目前に控え、これ以上カープに走られるわけにはいかない。反転材料を模索して巻き返す。

 鍬原が自ら勝機を放り出してしまった。初回、味方打線が4得点と最大級の援護。昨年8月からチームはマツダスタジアムで6連敗中とはいえ、勝利を予感させる出足だった。

 直後から乱れに乱れた。直球に伸びは感じさせたが、変化球の制球がおぼつかない。先頭の田中を歩かせ、1死後、四死球で満塁。武器とするシンカーの落差も消えた。苦し紛れのスライダーは松山に同点満塁アーチされ、粉々に打ち砕かれた。「シンカーの状態も悪かったが、他の球でもカウントを整えられなかった。技術不足」と痛感した。

 14日ソフトバンク戦でプロ初勝利。交流戦後の中断期間もあり、ローテ再編で初めてのカード初戦、しかもカープ戦を託された。「与えられたチャンスを踏みにじらないよう結果を出したい」。じわり離れる首位の背中を追うため、チームは新しい戦力を欲していた。鍬原が通用すれば-。希望の光として投入された。

 波状攻撃を止められなかった。3回に岡本の14号ソロで再び勝ち越してもらったものの、直後に丸に同点ソロを浴びた。四球から2球連続暴投、再び松山に適時二塁打。マウンドから引きずり降ろされた。3回途中7失点KO。脳裏には赤ヘルの脅威だけが刻まれた。2番手森福も止められず、広島戦では01年9月以来の14失点。引き金を引いた鍬原は「これだけ点を取ってもらった後に、すぐに取られた。僕の責任。チームに申し訳ないです」と頭を下げた。

 初物に弱い。巨人も含めた球界の定説だが、王者広島には当てはまらない。昨年もルーキー畠が登板した3戦でチームに黒星がついた。7月1日は新外国人ヤングマンの初先発が濃厚で、順調なら次週は広島戦にあたる。新戦力が突破口を開かなければ、広島との6・5ゲーム差は容易に縮まらない。【広重竜太郎】