アンパン満弾! 広島松山竜平外野手(32)が3安打5打点の活躍で球団初の3試合連続2桁得点に貢献した。4点を追う1回に巨人鍬原から7号グランドスラムを放つと、3回には同点に追い付いた直後に勝ち越し二塁打。4回も追加点につながる右前打。チーム2冠が、チーム4連勝に導いた。
いきなり背負った4点のビハインドを一振りで吹き飛ばした。松山は3四死球と立ち上がりの投球に苦しむ巨人ルーキー鍬原の失投を逃さなかった。カウント2-1からの内角低めに曲がるスライダーに、迷わずバットを思い切り振り抜いた。すくい上げたような飛球はそのまま右翼席中段へ。7号グランドスラムで試合の流れを引き寄せた。
「(満塁弾は)初めてです。最高に気持ち良かった。本当にうれしかった。僕の好きなコース。完璧な打撃ができました」
プロ入り初の満塁アーチは試合を振り出しに戻す値千金の1発となった。再び1点を勝ち越された3回には、丸の同点弾の後に勝ち越しの二塁打。これが決勝打となった。4回には今季5度目の猛打賞となる右前打でチーム11点目をお膳立てした。
三塁打が出ればサイクル安打となったが「気付いてはいたが、(残すは)三塁打だったので厳しいと思っていた」と笑って振り返る。足は決して速くない。いや、鈍足だ。それでも広島の選手として走塁意識は薄れてはいけない。15日ソフトバンク戦では記録にはならない走塁ミスをしたが、翌日の試合前には入念に走塁練習を繰り返した。前日25日も甲子園から移動し、マツダスタジアムで体を動かした。「足が速い選手と同じことはできないけど、意識は持たないと。あとはバットで結果を残さないといけないと思っている」。この日はチーム2冠のバットでチームをけん引した。
松山に引っ張られるように、球団初の3試合連続2桁得点で4連勝を飾った。緒方監督は「大きかった。最高の結果を出してくれた。あの回、1点でも2点でも返しておけば何とかなると思っていた中で最高の結果を出してくれた」とたたえた。【前原淳】