純な童心を貫くベテランが連敗を止めた。巨人内海哲也投手(36)が6回2安打2失点の好投で2勝目をマークした。4回までは完全投球を披露し「ストライク先行でいけた。左右の打者の内角に投げ切れた」。5連敗中の嫌な流れを断ち切る完璧な立ち上がりで、勝利をたぐり寄せた。

 交流戦ではパ界の「山賊」と「海賊」を抑えた。6月10日西武戦は7回2失点。最も危険とされる山賊打線に「山賊? 戦うというよりは、出くわさないようにしないと」と危険回避の好投でしのいだ。同17日は突如襲いかかってくるロッテの海賊打線も6回途中無失点で「ポセイドンが守ってくれる。海の最強の神だから」とギリシャ神話に登場する神の名を挙げた。

 36歳のベテランは“新大陸”を探し続けている。この日の勝利で自身プロ通算130勝目に到達。最多勝もエースの称号も手にしてきたが、過去の実績よりもハングリー精神が圧倒的に上回る。「コロンブスの本を小さいときに学校の図書館で読んだよ」と大航海時代を生き抜いた先人の背中を追う。

 サッカーW杯を応援する日本サポーターが試合後にスタンドのごみ拾いする姿が世界中から称賛を受けている。内海も09年、13年と2度出場したWBCで試合後にブルペンのごみを拾い、片付けをすることが日課だった。若き日から培ってきた習慣が当たり前のように続く。今季負け知らずの左腕は「投げることに幸せを感じて投げた。気持ちよかった」と高揚感を漂わせた。ルーキー鍬原、エース菅野でも止まらなかった負の連鎖を内海が一掃した。【為田聡史】