巨人岡本が、ようやく長いトンネルから抜け出した。2点を追う3回1死一、三塁。フルカウントからDeNA今永の外角チェンジアップにバットを合わせ、打球は左中間真っ二つ。6月26日広島戦以来、33打席ぶり安打となる適時二塁打に「素直にうれしかったです」と笑みがこぼれた。

 スランプにはまった。6月2日オリックス戦から第89代4番に定着。一時は首位打者に立った。だが主力として初めて受ける重圧の積み重ねが心身をむしばんだ。「こういうことは、いつか来る」と受け止めたが、苦悩の日々が続いた。

 自主トレをともにした西武中村が、3日に本塁打を放った際の記事を読んだ。「中村さんでもいろんな選手のバットを試したりしている。僕も元々いろいろ使いたい性格。でも、今年は変えないと決めてます」と実力者でも試行錯誤すると再認識したが、己の決断は変えなかった。練習ではDeNA筒香のバットを振ったこともあるが、試合では相棒を離さなかった。

 チームは敗れ、5位に転落。岡本も3打数1安打と後が続かなかった。「勝てれば良かったですけど、負けてしまったので…」。チームを上昇気流に乗せるには、主砲の完調が不可欠だ。【桑原幹久】