巨人菅野智之投手(28)がルーキー大城との初バッテリーで広島を8回6安打無失点に抑え、9勝目を挙げた。「前回は情けない投球だった。ただ勝ちたい、という気持ちで投げた」。6月28日は5回4失点と苦杯をなめさせられた王者に、中7日の前半戦ラスト登板でお返しした。

 初回から直球主体で攻めた。7回無死三塁も直球で押し切った。8回2死一塁。鈴木に2ボールから150キロ直球を2球続けて追い込み、最後はスライダーで空振り三振。「一番自信のある球はスライダー。それを生かすために、直球を投げないと」。119球中、直球の割合は55・4%(66球)、スライダーは18・4%(22球)。前回は直球が48・6%(55球)、スライダーが32・7%(37球)と、変化球主体で苦しんだ反省を生かした。

 50戦ぶりに小林と離れ、大城とバッテリーを組んだ。試合直前、緊張する東海大相模-東海大の後輩に「とにかくサイン出して座っておけばいい。打たれたら俺の責任。思い切ってリードしてほしい」と言って気遣った。帽子の裏に「覚悟」の文字。柱として受け止め、期待に応えた。

 昨季から5カード連続で勝ち越しなしの首位広島に先勝。「シーズンも折り返したばかり。3連勝して食らいつきたい」。今日7日は内海。明日8日の広島戦は14日ぶりに今村が先発。前回初登板初勝利を挙げたヤングマンは9日のヤクルト戦に回ることが濃厚。頼れるエースが、今カード3連敗で自力優勝消滅の危機も救った。【桑原幹久】

 ▼菅野が11三振を奪って今季9勝目を挙げた。これで菅野は通算141試合に登板して70勝38敗となり、2桁奪三振は19度目。巨人投手の70勝到達はスタルヒンの115試合が最速で、菅野の141試合は6位。2リーグ制後の入団選手では上原、江川に次ぐスピードで70勝をマークした。また、巨人投手の2桁奪三振5傑を出すと、(1)槙原35度(2)上原26度(3)斎藤雅24度(4)桑田22度(5)内海、菅野19度。菅野が内海に並んで5傑入りした。