広島は8日、西日本豪雨の影響で今日9日からの阪神3連戦(マツダスタジアム)を中止にすると発表した。本拠地のある広島県内は浸水や土砂崩れなどで被害が拡大し、犠牲者も出ている。周辺道路など交通網に大きな支障が出ていることなどを総合的に判断し、異例の措置を取った。振り替え試合は未定。4-6で敗れた巨人13回戦(東京ドーム)が球宴前最後の試合となった。

 苦渋の判断だった。広島の鈴木清明球団本部長は「被災された方の心情や、救助が進む中で、試合ができる状態にないと考えた。鉄道もストップしているし、学校も明日休校と聞いている。こういう災害だし、広島で試合をやって盛り上げる時じゃない」と話した。水害で家が流された球団職員もいたという。

 豪雨により広島県内は犠牲者や行方不明者が発生。交通網はJR在来線が運休などまひしている。高速道路も多くが通行止め。本拠地マツダスタジアムの被害報告はないが、試合開催しても来場できないファンが多数出ることが予想された。そんな状況を考慮して、球団はこの日午前から中止を検討。同時に日本野球機構(NPB)と、対戦する阪神球団にも中止の可能性を伝えていた。最終的に午後3時、松田元オーナーが3連戦すべての中止を決め、各方面に伝えられた。

 チームは巨人戦に向けて5日に東京入り。翌6日から3連戦を行う間に広島での被害が拡大し、動揺や不安が広がっていた。緒方監督は中止決定を受けて「ニュースでいろんな情報を耳にしているが、広島に帰ってみないと…。まだ行方不明の人もいらっしゃるし、落ち着いていない。球団の判断は当然の措置」と理解した。

 選手も中止はやむなしと受け入れた。鈴木は「僕の立場で軽々しく言えないが、正直、試合をやってる場合じゃない。判断は正しいと思う」と胸を痛めた。ベテラン新井も「大変なことになっている。安否の分からない方もたくさんいる」と沈痛の面持ちだった。

 今後、各地の復旧には長い時間がかかりそうだが、選手会長の会沢は、いつもパワーをくれるホームタウンに力を与えたいと全員の思いを代弁した。「僕らは勇気や元気を与えられるように。それがプロ野球選手の使命」。何らかの支援活動も検討を始める。チームとして、できることはやっていくつもりだ。【大池和幸】