オレも代打アーチだ! 大谷だけじゃない! DeNA佐野恵太内野手(23)が中日12回戦の7回2死一塁、石田の代打で登場し、同点の4号2ランを放った。今季2本目の代打本塁打が口火となり、宮崎、ソトと二塁打が続き逆転勝利した。チームは4連勝で単独2位に立った。前半戦残り2試合。一気に借金2を完済に挑む。
代打佐野が、板についてきた。今季ピンチヒッターは25打席目だった。2点を追う7回。勝ち越しを許した直後の劣勢ムードを蹴散らす一振りは、初球勝負だった。
「それが自分の持ち味。1球で仕留める練習をずっとしてきた」
餌食は125キロのスライダー。左中間スタンドで両手をあげて待ちかまえるファンの群衆に吸い込まれ、同点2ランで一転、勝ち越しムードをもたらした。
華やかなスタジアムの光景とは裏腹に、テレビで流れる故郷の悲惨な状況に胸を痛めていた。先週末に西日本を中心に豪雨が降った影響で、岡山市南部にある実家も被害を受けた。「実家は岡山だし、高校は広島。実家が浸水したりしたわけではないけど、知り合いだったり同級生もいる。衝撃を受けています…。少しでもいいニュースを届けられたら」。胸に秘めた思いがバットに乗り移った。
代打の心構えは決めている。「1打席1打席、悔いのない打席を送れ」。プロ2年目を迎え、代打で生きていくために、身近な強打者たちに助言を求めた。筒香、宮崎、梶谷。「みんな代打があって、そこからレギュラーになれた。自分も1打席も無駄にできない」。宮崎が今も心がけている言葉を伝え聞き、打席に入る。試合前の打撃練習ではラミレス監督に猛アピール。起用に応え、指揮官も「バッターとして一流のものを持っている」と、代打の切り札として認めた。
6月29日広島戦で初のサヨナラ打に続く殊勲弾となった。チームは4連勝で、阪神を突き放し単独2位に。前半戦残り2試合を勝てば勝率5割でターンができる。「一生懸命頑張ることしかできない。明日からも頑張る姿を見せていきたい」。スタンドのファンに、ベンチの監督に、そしてゆかりのある岡山、広島へ勇姿を届ける。【栗田成芳】
▼DeNA佐野の本塁打 ルーキーイヤーの昨年は0本で、今季ここまで4本。代打本塁打は6月8日日本ハム戦(横浜)で鍵谷から打って以来2本目。
◆佐野恵太(さの・けいた)1994年11月28日、岡山市生まれ。広陵-明大を経て16年ドラフト9位でDeNA入団。17年ヤクルトとの開幕戦で代打でプロ初出場。2年目の今季、6月1日ソフトバンク戦で初本塁打。元ダイエーの佐々木誠氏は伯父にあたる。今季年俸は700万円(推定)。178センチ、84キロ。右投げ左打ち。