巨人上原浩治投手(43)が阪神14回戦の8回に登板し3者凡退に抑え、今季9ホールド、日米通算99ホールド目(日本18、米国81)を挙げた。日米通算134勝、128セーブを挙げており、プロ野球では誰も記録していない、勝利、セーブ、ホールドの「トリプル100」に王手となった。チームは6連勝で、5月25日以来の「貯金1」をマークした。

 憧れた地で、全力を出し切った。2点リードの8回。上原の名のコールに敵地・甲子園もざわめいた。「10年前の方が、ヤジもすごかったからね」。渦巻く熱気も意に介さず、簡単に2アウト。最後は北條をこの日最速138キロ直球で中飛に抑えた。「ゼロに抑えられたから最高です」。今季9ホールド目で日米通算ホールドは99。日米史上2人目の「通算100勝100セーブ100ホールド」へ王手をかけた。

 プロへの道は、出遅れから始まった。高校時代は関西の東海大仰星で控え投手。「投手は最後の夏で少しやっただけ。自分の中で高校野球はやってないことになってるよ(笑い)」。最後の夏が終わると、大学受験勉強の日々。「勉強してこなかった、つけがまわってきちゃったね」と楽しい思い出は、ほとんどない。だからこそ思うことがある。「甲子園は全野球人が憧れる場所。だけど高校球児には『野球が全てじゃないよ』と言いたい。野球バカになってほしくない」。浪人から大学を経てプロ入り。苦労の数だけ、思春期の貴重な時間が身に染みた。

 43歳の今は結果を求め、自分のために時間を使う。春季キャンプを経ずに、10年ぶりに日本球界へ復帰。4、5月は別メニューで走り込み、6月から通常メニューに戻っても、自ら負荷をかけた。「わがままの分、結果で返していかないと」。開幕当初は勝利の方程式入りも不調で外れた。それでもカミネロの不調に自身の復調もあり、再び方程式へ。4月5日中日戦以来の、ホールドシチュエーションでの8回を任されるまでに信頼を回復した。

 勝利に貢献し続けたからこその偉業達成が見えてきた。「先発の時もプライドはあったし、今もプライドがある。先のことより明日の試合を頑張るだけです」。日米カード別最多の阪神戦11ホールド目も通過点に、新たな歴史を作る。【桑原幹久】

 ▼上原が日米通算99ホールド目(日本18、米国81)。日米通算134勝、128セーブを挙げており、勝利、セーブ、ホールドの「トリプル100」に王手となった。この3部門で100以上は日本プロ野球では誰も記録しておらず、大リーグでもトム・ゴードン(138勝、158セーブ、110ホールド)がマークしているだけ。