あぁ甲子園で…。金本阪神が後半開幕の巨人戦で屈辱の3連敗を喫した。ウィリン・ロサリオ内野手(29)が1カ月半ぶりにスタメン復帰し、新外国人エフレン・ナバーロ内野手(32)との初コンビで合計3安打したが勝利は呼び込めず。4連敗で今季最多タイの借金6となった金本知憲監督(50)の苦悩は、深い。頼みは右足骨折から再起し、21日のDeNA戦(横浜)にも1軍復帰する超人・糸井嘉男外野手(36)だ。

 うだるような暑さの中、虎が苦しんでいる。0-5で迎えた9回裏、3得点でなんとか完封負けは阻止。連日最終回に追い上げモードに入ったが、裏を返せば序盤の沈黙が響いた敗戦が続く。後半戦開幕から甲子園で宿敵巨人に3連敗。前半戦から4連敗となり、金本監督の表情は厳しく固まったままだった。

 「そこ(2、3回)で1本出ていれば、また違ったかも分からんけどな。向こうの先発も良かったし、なかなか思うようにはね。そりゃあ(序盤から)行ければ理想だけど。理想に近いように取り組んでいかないといけないんだけど…」

 前日17日に1軍再昇格させたロサリオを6月1日西武戦以来のスタメン復帰させ、5番ナバーロ、6番ロサリオの並びで勝負。今季初の助っ人野手併用スタメンも勝利に結びつかず、2日連続で初対決に敗れた。前日17日は右腕ヤングマンの前に7イニングで2得点。この日は左腕メルセデスに7回6安打無失点。2回2死三塁、3回2死一、二塁を逃すとズルズル…。指揮官は「分からん投手ほど積極的に打ちにいくのも1つの手だけど」と渋い表情で振り返るしかなかった。

 この日、ナバーロは2安打。ロサリオも9回に痛烈な二塁打を披露した。それでも勝てなかったのだから、いよいよあの男に頼りたくなる。1軍巨人戦開始の7時間前、灼熱(しゃくねつ)の鳴尾浜では右足腓骨(ひこつ)を骨折している糸井が激走を見せていた。スパイクで一塁ベースへ猛ダッシュ。一塁でけん制の帰塁をへてからスタートを切ると、トップスピードで骨折後初スライディングも披露。状態確認に訪れていた平野打撃コーチは「問題ないと思う。見た感じ、全然大丈夫そう」と納得顔だった。

 3日連続のフリー打撃では89スイングで柵越え8本を放ち、右翼ノックも敢行。平野コーチは「本人も横浜に合わせていると言っているし。あとは本人と監督が決めること。本人が行けると言ったら、ダメと言う理由はないです」とも説明した。今日19日に鳴尾浜の2軍残留組練習で状態に問題がなければ、明日20日のウエスタン・リーグ中日戦(甲子園)で実戦復帰する方向。経過が順調であれば、21日の敵地DeNA戦で1軍復帰する可能性が高い。

 借金が今季ワーストタイの6まで膨らみ、2位巨人とのゲーム差が4まで広がった。一気に流れを変える救世主となれるのは、超人糸井しかいない。【佐井陽介】