やっぱり神様は期待を裏切らない。快音を欲する虎党の大声援に応え、阪神原口がまた打った。出番は6回。2点差に迫られて迎えた1死二塁のチャンスで、広島2番手アドゥワの2球目直球をきれいに左翼にはじき返した。リードを3点に広げるタイムリーで、強力広島打線の追い上げムードを押し戻した。

 「流れ的に嫌な感じでしたが、1点を取れば流れが変わるという場面。しっかり準備して、自分のスイングをしようと思っていました。甘い球をとらえられて、いい結果につながってよかったです」

 勝ちにはつながらなかったが前日24日にも9回に右翼線に安打を放ち、今季の代打打率を5割に乗せた。そして迎えたこの日は貴重な追加点をもたらす一打。すでに驚異的だった代打打率は、29打数15安打の5割1分7厘まで上昇した。

 いつもより早い出番でも、集中力は変わることはない。「試合展開を見ながら準備しています。たくさん先輩方がいる中、ベンチで声を出すのも仕事なんですが、早い回からしっかり準備させてもらっているので」と感謝した。起用した金本監督も「片岡コーチが(あの場面は)何が何でも原口でいくというから、彼に対する信頼というのは本当に高いですね」と認める。勝負どころで起用され続ける神様が、集中力を研ぎ澄ましてバットを振り抜く。【吉富康雄】