これが男の意地だ。巨人内海哲也投手(36)が4年ぶりの完封勝利を決めた。

 DeNA打線を相手に130球で今季4勝目。14年9月12日DeNA戦以来の完封に「もうできないと思っていたので、うれしい。(山口)俊のノーノーぐらいうれしいです」。9回2死、代打神里をチェンジアップで空振り三振に抑えると左腕を突き上げ、くるっと1回転。「みんなに『ダサい』って言われて…。久しぶりに出ちゃいました」と喜びがあふれ出した。

 強打者相手にも、けんか上等だ。5点リードの5回1死二、三塁。ロペスの内角を3球えぐった。最後は内角スライダーで振らせて三振。続く筒香も中飛でしのいだ。「内角をしつこく攻められた。大城に感謝しています」と11歳下の新人捕手と強気に走りきった。

 通算132勝の礎は高校時代にある。高校2年まで住んでいた敦賀気比野球部寮の入り口の壁に、連合艦隊司令長官・山本五十六の名言「男の修行」が書かれた色紙が飾られていた。

 「苦しいこともあるだろう。云い度いこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣き度いこともあるだろう。これらをじっとこらえてゆくのが男の修行である」

 言葉に一目ぼれした。練習用シャツの背中にも「男の修行」と刻んだ。「あの時期があったから、プロでこの年までやれている」と高校時代は苦くも貴重な時間だった。

 勝ちパターンのマシソン、上原が不在。窮地の投手陣も救った。「ダメなら2軍という気持ちで投げている。けど、絶対残ってやります!」。男36歳は、まだまだ元気いっぱいだ。【桑原幹久】

 ▼36歳3カ月の内海が14年9月12日DeNA戦以来、4年ぶり12度目の完封勝ち。36歳以上で完封した巨人投手は03年8月20日に40歳3カ月で記録した工藤以来5人、9度目。別所、加藤、工藤は他球団から移籍した選手で、巨人生え抜きで36歳を過ぎて完封したのは56年中尾以来、62年ぶり2人目だ。この日は今季最多の130球。内海が130球以上で完封は09年9月5日ヤクルト戦142球、11年5月28日ロッテ戦152球に次いで3度目。