広島が2位ヤクルトを下し、ゲーム差を9・5に広げた。今季26度目の逆転勝利の立役者は、前半戦不振を極めていた安部だった。 チームは1回に1点を先制しながら、その裏すぐに逆転を許した。それでも4回。2死一塁から安部が小川の144キロを強振して中堅越えの三塁打で振り出しに戻した。6回に勝ち越し、8回に再び安部が近藤のスライダーを捉えた打球は中堅フェンスも越える2ランとなった。「前の打席でチャンスでふがいないバッティングをしてしまったので、とにかくつなぐ気持ちでいきました」。6回の好機で二ゴロに倒れた悔しさを2ランに変えた。

 昨季はリーグ4位の打率3割1分を残しながら、今季は前半戦を打率1割7分9厘で折り返した。後半戦から再昇格。2安打3打点で後半戦打率4割と復調気配も、満足感はない。あるのは、危機感のみ。「1回打ち砕かれているので。取り返すつもりでやりたい」。三塁には打力のある西川、この日1軍に再昇格のメヒアもいる。

 「覇気」と言い続けた元気印も、再昇格後は感情をあまり表に出さない。「ヒットを打っても、次の打席、次の守備があるので。勝ってから喜ぶようにしたい」。感情も調子も、浮き沈みをなくしたい。

 広島には早ければ明日2日にも優勝マジックナンバー「43」か「42」が点灯する。4月24日に首位に立ってから、セの2位球団に12勝1敗。直接対決に勝利することで独走状態をつくり出した。球団最速でのマジック点灯へ-。広島にまだ満足感はない。【前原淳】

 ▼広島は早ければ明日2日にも優勝へのマジックナンバー(M)が点灯する。2日の点灯条件は広島が1日からヤクルト戦に連勝、この間にDeNAが巨人戦で1敗、阪神が1日の中日戦に引き分け以下だとM42。広島が1勝1分けでもDeNAが1敗1分け以下、阪神1敗ならM43が出る。球団史上最速のM点灯日は昨年の8月8日だが、今季はどうか。