首位西武は辻監督の決断が流れを呼び込んだ。1-3の7回表2死二塁、今季初めて菊池をイニング途中で代えた。すると、2番手平井が好救援。日本ハム松本を遊ゴロに仕留めた。その裏、敵失もあり3得点で逆転。2位との直接対決3連戦初戦をものにし、ゲーム差を3・5に広げた。

 菊池は5回以外は毎回走者を出した。本調子ではなかったが、エースだ。それでも、指揮官は押し切った。「(松本は)一番タイミングが合っていた。球数(122球)もどうかというところ。雄星(菊池)も心残りだろうけど、チームの勝利が一番」と貫いた。

 ベンチで菊池は珍しく感情を爆発させた。グラブをたたきつけ、帽子を脱ぎ捨てた。辻監督はねぎらいに近寄ったが、すぐに元の位置へ戻った。「熱くなっていたから声をかけなかった。帽子を拾ってあげたよ」。それでいいと言う。

 辻監督 それぐらいの気持ちがあっていい。そういう気持ちがうれしい。いつも言っている。チームが勝ったからOK。十分、貢献してくれた。

 3失点でしのいだことを評価した。劣勢の末の白星を「どういう形であれ、チーム全体の勝利」と総括。秋に控えるであろう大一番を前に、価値ある1勝を手にした。【古川真弥】