首位西武の中村剛也内野手(34)が、プロ野球45人目の通算1000打点にたどり着いた。0-0の2回2死一塁で3試合連続の15号2ラン。豪快な1発で節目の記録に花を添えた。

 滞空時間の長い、らしい当たりだった。2回2死一塁、西武中村はカウント1ストライクからの2球目、オリックス・アルバースのスライダーを振り抜いた。2秒、3秒、4秒…まだ落ちない。約5・3秒後、大きな放物線の先、左翼4階席に届いた。淡々と「打ててよかったです」と答えたのは、いつものスタイルだが、この先制15号2ランで、ちょうどプロ野球45人目の通算1000打点に達した。1発で決めるのも、中村らしい。「ホームランで1000打点。よかったですね」と口元を緩めた。

 もっと早く、の思いがあった。開幕時で残り31打点。「時間がかかり、すみませんでした」と頭を下げた。過去6度の本塁打王が、17年目の今季は開幕から絶不調。4月後半には守備で左肩を痛め、1カ月あまりの離脱も味わった。2軍でも苦しんだ。形を崩し、試行錯誤。あえて試合前練習をせずに2軍戦に出たこともあった。同時にコンディションを保つため、今まで以上に股関節や下半身のストレッチに時間を割いた。

 6月から戦列復帰。当初は不振が続いたが「打てないから、いろいろやらないと」。巨人坂本勇、楽天今江ら同じSSK社を使う他選手のバットを取り寄せ、片っ端から試した。バットをほとんど替えない男の覚悟。辻監督の目にも「練習から気持ちが違う」と映っていた。夏到来とともに一転。7、8月だけで計12本塁打を重ねている。

 2連勝で、貯金はついに今季最多20。自身初の本塁打王となった08年以来の優勝へ着々と進んでいる。が、力みはゼロだ。2位日本ハムと4ゲーム差に広げたが「相手のことを考えても疲れるでしょ」と笑い飛ばした。一戦必勝で、結果は後からついてくる。「優勝争いをしたことがない選手はプレッシャーを感じるだろうけど、そういう時に(自分が)打てばいいんじゃないですか」と、頼もしかった。【古川真弥】

 ◆通算1000打点=中村(西武) 7日のオリックス15回戦(京セラドーム大阪)の2回、アルバースから15号2ランを放って達成。プロ野球45人目。初打点は03年9月28日の日本ハム28回戦(東京ドーム)。西武で1000打点を記録したのは初めてで、現12球団では西武と楽天だけが1000打点以上がいなかった。