11年秋以来、14季ぶりのリーグ制覇を目指す北翔大が、星槎道都大に1-0で競り勝ち、白星発進した。プロ注目の最速152キロ右腕、伊藤宏太投手(4年=岩見沢東)が先発し、5回1/3を2安打無失点と好投。プロ6球団のスカウトが見守る中、同じくプロ注目左腕の星槎道都大エース福田俊(すぐる、4年=横浜創学館)との投げ合いを制し、好スタートを切った。

伊藤が力強い直球で、居並ぶスカウト陣にアピールした。右腕を思いきり振り下ろすダイナミックなフォームで初回を3者凡退に打ち取ると、6回途中で交代するまで、5三振すべて直球で奪った。「僕の武器は速い球。伸びがあって球の質は良かったと思う。四球が多かったので修正しないと」。四死球6と制球面で課題は残ったが、要所を締め無失点と、持ち味は存分に発揮した。

相手もプロ注目左腕の福田とあり、ネット裏には中日、巨人、楽天など6球団のスカウトが集まった。「少し(スカウトを)意識してしまった」と伊藤。舞い上がる気持ちをぐっと抑え、この日の最速は149キロ。自己最速には届かなかったが、中日の八木智哉スカウト(34)は「球が速く力がある。春先に見たときよりも、上体の動きのロスが減った」とフォーム面の進化を口にした。

今月6日に、北海道社会人学生選抜のメンバーとして、日本ハム2軍とのプロアマ交流戦に登板。次のステージへの思いを強くした。「プロの選手は甘い球を見逃さない。勉強になったし、ストライクからの出し入れとか配球の重要性も知った。自分も将来、こういう選手たちと対戦してみたい」。先発し2回4安打2失点と打ち込まれた経験が、心に火を付けた。

大学1年春からリーグ戦のメンバー入り。腰椎分離症で離脱した大学2年の冬から筋力アップに励み、体重は2年冬の71キロから今春までの1年半で83キロに増加。141キロだった球速も、今春に152キロをマークするまで成長した。「プロにいきたい。そのためにも全国の舞台で投げてアピールしないと」。まずはリーグ制覇に貢献し、夢への道を切り開く。【永野高輔】

◆伊藤宏太(いとう・こうた)1996年(平8)11月30日、帯広市生まれ。岩見沢東小3年時に、岩見沢ブラックベアーズで野球を始める。岩見沢東光中から岩見沢東高に進み、3年春の全道、夏の北北海道大会に出場。14年夏は地区予選から33イニング無失点を記録し、ベスト8進出に貢献した。北翔大では1年春にメンバー入りし、昨秋のリーグ戦で初勝利。家族は両親と妹。右投げ右打ち。174センチ、83キロ。