ベテランの技と意地が詰まった一撃だった。

1点を追う6回1死一、二塁。広島新井は吉川光の内角低め直球を振り抜いた。自身の持つ球団最年長本塁打を更新する、6月14日オリックス戦以来の1発。ベース1周すると笑顔があふれた。

「初回に自分の守備のミスから失点してしまった。迷惑をかけていたので、何とかこの試合の中で取り返したいと思っていた。うまく打てたかなと思う」

1カ月ぶりのスタメン出場に「気合が入っていた」。1回にダブルエラーを犯したがバットで取り返した。2、8回にも安打で昨年5月3日中日戦以来の猛打賞。41歳6カ月の新井は、11年に40歳7カ月でマークした石井琢朗を抜いて、球団の最年長記録更新となった。「それは置いといて。勝てたんで良かった」と総力戦での白星を喜んだ。

2年前のMVPも、最近は代打出場が続いていた。試合前まで7、8月の合計は23試合で25打数2安打、0打点。「ちょっとしたズレはある。経験と、普段の練習で埋めないといけない」。現状の役割を理解し、結果を出すのはさすがだ。優勝マジックはまた1つ減って20となった。「もちろん雰囲気はいい。目の前の試合を1つ1つ」。頼もしい後輩とともに、3連覇へ突っ走る。【大池和幸】