一丸勝利じゃ。広島が延長10回に押し出し四球で勝利した。7月24日阪神戦(甲子園)以来のスタメンとなるベテラン新井が3ランを含む猛打賞の活躍を見せると、1点を勝ち越した10回はフランスアが8月17試合目の登板で来日初セーブを挙げた。緒方孝市監督(49)の采配が見事に的中し、優勝マジックを1つ減らして20とした。

粘って、粘った広島が延長戦で勝利した。同点で迎えた10回、イニングまたぎとなった巨人アダメスの球筋を見切った。先頭の野間が追い込まれながらファウルで粘り四球をもぎ取ると、菊池が犠打。丸の申告敬遠の後は鈴木も冷静に際どい球を見送った。最後は2死満塁から田中が内角のボール球を見逃し、決勝点をもぎとった。

緒方監督 接戦をこうやって勝ち切れたのが大きい。つないでつないでの意識で。我慢するところは我慢して、打ちに行くところは自分のスイングが今日もできていた。

1点を勝ち越すと、必勝態勢に入った。今季初めてセーブシチュエーションで抜群の安定感を誇るフランスアを投入。抑えの中崎が本調子でない中、新守護神候補をテストする意味合いもあった。「いい勉強になったと思う。一番プレッシャーがかかるところで投げさせたい思いもあったし、いい経験、自信になったと思う」。指揮官の思いに応えた左腕が試合を締めくくった。球団新記録でリーグタイ記録となる月間17試合目の登板で、来日初セーブをマークをした。

スタメンには、約1カ月ぶりにベテラン新井を起用した。迎打撃コーチは「本人は気を使わなくていいと言うけど、これから先のことを考えたら必要だった」と巨人吉川光との相性を考慮し起用を決めた。コーチの進言に、緒方監督は首を縦に振り、信じた。そのベテランも起用に応えた。一時は逆転の3ランを放つなど、猛打賞で元気な姿を見せた。

打つべき手をすべて打ち、白星をたぐり寄せた。指揮官はプレーでチームをけん引したベテランの姿に「まだまだ体も動くし、これから先も頑張ってもらいましょう」と最敬礼。総力戦でつかみとった勝利は格別だった。【前原淳】