逆転優勝へ再進撃だ! ソフトバンク工藤公康監督(55)が積極的な采配で試合を動かし、ロッテに快勝した。6回に代打明石健志(32)がチーム34イニングぶりの適時打となる2点打で先制。スクイズも決め、一挙5得点を挙げた。前夜に10連勝を逃したが、引きずることなく、西武猛追の再スタートを切った。

工藤監督は迷わずに代打明石を告げた。0-0の6回1死満塁で8番甲斐に代えた。明石は内寄りの直球をとらえた。鋭い打球はゴロで一塁線を破り、2者が生還。先制の2点タイムリー二塁打となり、右手人さし指を挙げて喜んだ。「いいところに飛んでくれた。狙いは内角の甘いところからの直球」。ベンチでロッテの先発シェッパーズを凝視していた成果が出た。チームにとっても。34イニングぶりの適時打。1発は出ても、つながらなかった打線に待望の1本が飛び出した。

指揮官はさらに積極采配に打って出た。二、三塁のチャンスで三塁走者の長谷川勇に、代走西田を送った。「思い切って代走を送った。もう1点を取ることが大事だったので、スクイズをさせた」。相手の警戒がさらに高まる中で、上林にスクイズのサインを出した。1ボールからの2球目カットボールに食らいつく。小飛球は投手唐川の前に落ち、スクイズ成功。さらに悪送球もあり、2点を奪った。上林は「打球が上がった瞬間、併殺かと焦った。ラッキーでした」と冷や汗だったが、ベンチの指示に応えた。この回一挙5得点。8回には上林の右前2点適時打でダメを押した。

10連勝を狙った前日28日は10安打も11残塁。犠飛の1点しか奪えず、痛い黒星を喫した。工藤監督は「今日勝てたのが何よりも大きい。1つずつ、先のことを考えずしっかりやっていきたい」と連敗しなかったことを喜んだ。今季腰痛に悩まされ続けた明石を16日に1軍に呼んだ。「明石は常にしっかり準備をしてくれていた。ありがたい」と感謝。26日の西武戦では全試合先発で起用してきた上林を、左足かかとの痛みを考慮し、スタメンから外した。「まだ先があるから」と自ら説得。この日の活躍につなげた。工藤監督は「最後には楽しいことが待っている。そうなるように頑張ります」。ベンチと選手が一体になっての快勝。西武猛追へ再進撃が始まった。【石橋隆雄】