「世界の王」超えを射程に捉えた。巨人岡本和真内野手(22)が、2戦連発となる先制3ランを含む3安打4打点で大暴れした。1回1死二、三塁、中日松坂からバックスクリーン右へ28号。2回にも左翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。打率3割1分5厘に上昇させ、89打点、28本塁打まで積み上げた。22歳シーズンでの「3割30本100打点」到達となれば、プロ野球史上最年少。23歳の王貞治、門田博光らレジェンドがしるした球史を塗り替える。

岡本が怪物をやっつけた。1回1死二、三塁。手元で微妙に変化する136キロをバットに乗せた。中日松坂からのバックスクリーン右への28号先制3ランに「引っ張りにいったら遊ゴロになってしまうと思って、センター方向を意識した。手応えは良かった。うれしいです」。2年前のオフにプエルトリコのウインターリーグで同僚としてプレーした平成の怪物を容赦なく打ちのめした。

意識はマウンドに立つ投手だけに集約させた。シンプルに投手だけと対戦する姿勢が好成績を支えている。「井端コーチに『審判と勝負するな。投手と勝負しろ』と言われた。すべては、人のせいじゃなくて、自分のせいだと思う」。キャンプ中から守備を徹底的に指導してもらっている名手かつ勝負師の金言を打席でも胸にとどめている。邪念を排除し、目の前の敵をロックオンすることで結果を積み上げてきた。

目の前にはない、巨大な壁を打ち破るときが迫ってきた。高卒4年目での100打点到達は松井秀喜の99打点を抜き、史上初となる。さらに22歳シーズンでの「3割30本100打点」となれば、前人未到の最年少記録となる。30発まであと2本に迫るも「そんなに意識はしていない。今はなんとか走者をかえすことだけです」とチームプレーを最優先する。ここまで124試合で89打点はシーズン102打点ペース、本塁打は32本ペース。自然体のままでも十分に大記録に届く。

ただ不動の4番へと成長を続ける主砲は、球史とは戦っていない。「今年だけじゃ意味がない。来年も再来年も成長し続けないといけない。僕はまだまだなので」と遠慮がちに背中を丸める。チームのための一打が、存在価値を高め、結果的に記録へとつながる。世界の王、通算567本塁打の門田、ミスタータイガースの掛布、トリプル3の山田哲、どでかい怪物を無意識のままやっつける。【為田聡史】