第2の故郷に錦だ。仙台育英出身のソフトバンク上林誠知外野手(23)が、技ありの先制適時打で4連勝を呼び込んだ。2回2死走者なしからグラシアル、甲斐の連打で一、三塁の好機をつくると、内角高め136キロ直球に、右腕をうまくたたみながら右翼線へ運んだ。「思い切って内角を引っ張るとファウルになる。フェアゾーンに入れる打ち方をした。詰まったけれど、いいところに落ちてくれました」と、厳しいコースを狙い通りに仕留めた。

8回には近藤から右中間を深々と破る三塁打。9回にも近藤のスライダーをとらえ、2戦連発となる19号ソロを右翼へたたき込んだ。「いったとは思ったけど、どこまで飛んだかは見ていませんでした」。7月26日ロッテ戦以来30試合ぶり、今季5度目の猛打賞。「打てる時に打っておかないといけないので」と気を引き締めた。

この日の3安打はすべて右投手から。今季は体を開かずに打てる左投手の方が打率がいい。8月は打率2割7厘と不振だったが、右投手攻略が復調のカギとなる。目標の20本塁打まであと1本に迫った。今季は代打出場が1度あるが、ここまで全114試合に出場している。

「自分の名前が入ったボードやタオルを掲げてくれるファンがいる。その中には、その日限りしか球場に足を運べない人も当然いる。だからこそ、毎日試合に出てプレーをしたいし、結果も出したい」

不動のレギュラーだからこそ1試合、1試合を大事に思う。埼玉県出身だが、仙台育英で3年を過ごした仙台は第2の故郷だ。楽天生命パークでは今季10試合で打率3割4分2厘、3本塁打、8打点と打っている。残り29試合。ファンを思って、どの試合も全力プレーで奇跡の扉をこじ開けにいく。

【石橋隆雄】