ソフトバンクが、10日間8試合を敵地で戦う「勝負のロード」を快勝発進した。今宮健太内野手(27)が先制の11号2ラン。犠打に本塁打に犠飛と、マルチな活躍で勝利を呼び込んだ。15日からは西武との首位決戦も控える重要な期間。まずは最下位の楽天を、しっかりたたいた。

今宮のアーチが、明るい旅路の始まりを告げた。3回1死一塁。楽天安楽の外角スライダーにしっかりバットを合わせた。高く上がった打球は風にも乗り、右翼席の最前列へ。先制の11号2ラン。「次につなげようと思って打席に入りました。風のおかげで入ってくれました。普通の風ならライトフライでしょう」と、決勝弾にもなった11号を謙遜しながら振り返った。

この日は初回に犠打。本塁打の後の第3打席は犠飛で、追加点を挙げた。つなぎの役割も果たしながら、3試合連続打点と決めるべき時に決めることもできる。特に本塁打数は前半戦3本から、右肘痛のリハビリ期間を終えた後半戦はこれで8本目と一気に増えた。昨年の自己最多14本も視野に入るペースだ。

今季は本塁打増を狙い、自主トレ期間から脱力して打つことをテーマに掲げていた。だが「今は全然違いますよ」と言う。「キャンプからずっとやろうとしてきたことがあったけど、うまくいかなかった」。2軍で自身を見つめ直す時間もあり、意識を変えた。今は「思い切り振ると言うよりは、タイミングですね。いかに思い切り振れる形を作れるか」。スイングの形よりもタイミングを意識することで、より強い打球を打てるようになった。

ソフトバンクは、この楽天戦を皮切りに10日間で8試合を敵地で戦う。21日にやっと福岡に帰るが、その後は10連戦も待っている厳しいスケジュールだ。工藤監督は「いい形でスタートできたとは思いますが、とにかく勝っていくしかない状況の中にいる。また明日、次のゲームという意識でやっていきたい」と気持ちを切り替えた。殊勲の今宮はファンの前で「負けることもあると思うけど、絶対連敗しないことを心がけていきたい。明日も絶対勝ちます」。力強い言葉で、半袖では少し肌寒い仙台を熱くした。【山本大地】