「へえ、そうなん?」。ロッテ田村龍弘捕手(24)は、肩を並べかけている偉大な記録にさして興味を示さなかった。ここまで全120試合に出場(うち119試合で先発)。シーズン全試合に捕手として出場したのは、過去30年で古田(ヤクルト)城島(ダイエー、阪神)の2人しかいない。「平成3人目」には無頓着。だが「全試合出場」には目の色を変える。

「レギュラーを張る以上、当たり前。休みはいらない。若いうちに、体がいける時に出る。毎年意識してますよ」。昨季は自己最多の132試合と、4年連続で100試合以上をクリアした。強気なリードに、昨年盗塁阻止率リーグトップを誇った強肩。中継ぎ投手を増やしたいチーム事情もあってベンチは田村、江村の捕手2人態勢を敷く。井口監督の信頼は厚い。

大阪出身で「寝てる時以外しゃべってる」と言われるほどのおしゃべり。一見軽そうなノリもコミュニケーション能力が高く、よく人を見ている。来日1年目のボルシンガーは「自分の心を読んでくれる」とべたぼれ。ヒーローインタビューで何度「タムラのおかげ」と言ったか分からない。

昨オフに侍ジャパンを経験し、年齢以上の貫禄が漂う6年目。今年は先発陣に2年目の土肥、種市ら“デビュー組”も多かった。「やっと年下が出てきた。(清水)将海コーチから『若い投手をお前が育てないと』って言われてます。今ローテに定着できる若い投手は二木くらい。僕が30歳になった時、27~28歳の全盛期の投手がいないと困る。岩下や種市を育てるつもりでやっていきます」。明日15日の10連戦初戦は二木と組む。小さな扇の要が、4、5年先のロッテを占うキーマンかもしれない。【鎌田良美】

▼田村はここまでチーム120試合に全試合出場。しかも代打や指名打者だけの出場はなく、全試合でマスクをかぶっている。シーズン全試合に捕手として出場すれば、10年城島(阪神)以来になる。パ・リーグでは03年城島(ダイエー)が最後。ロッテでは東京時代の醍醐が65、66年に記録しているだけだ。田村はまだ24歳。2リーグ制後、24歳以下でマークしたのは51年山下(20=阪急)57年野村(22=南海)99年城島(23)の3人と少ない。