<DeNA4-20阪神>◇16日◇横浜

絶望のふちでかけられた言葉は今も忘れない。2軍降格前最後に先発した7月26日広島戦。

1/3回5失点でKOされた直後のことだ。一塁ベンチ端でポツンと立ち尽くす阪神藤浪に、そっと近づいたのが鳥谷だった。「また、つらいことが多くなるかもしれない。でも、自分ではどうしようもないことを考えても仕方がない。自分がコントロールできることに集中して頑張ろう」-。出場機会が激減して苦悩しているはずの男の言葉は、重たかった。

1カ月半の鳴尾浜生活。先輩の言葉を胸に、黙々と自身のスキルアップにいそしんだ。「何より自信、ですよ。自信がないと、周りがザワつくと、どうしても歩かせちゃいけないとか思ってしまう。体の開きとか体重移動とかも気にせず投げられるように」。自分を信じられるだけのフォーム固めを積み重ねて戻ってきた。藤浪はこの日、「できること」に集中していた。【阪神担当=佐井陽介】