阪神が若虎打線の爆発で最下位を脱出した。この日は右足の状態に不安がある4番糸井嘉男外野手(37)が欠場するピンチ。3番福留孝介外野手(41)に加え、4番打者も欠く苦しい布陣となったが、中谷将大外野手(25)、梅野隆太郎捕手(27)ら下位打線の奮起もあって18安打13得点で優勝目前の広島を圧倒した。今日23日からはクライマックスシリーズ(CS)進出を争う3位巨人との2連戦(甲子園)に臨む。

中谷はためた力をインパクトで一気に放出した。3点リードの1死一、二塁。広島岡田が投じたカウント2-0からの3球目スライダーを捉えると、気持ちよさそうにバットを放り投げた。打球は左翼スタンド最前列に着弾。流れを引き寄せる4号3ランを見届けると、6月15日楽天戦以来、3カ月ぶりの感触をかみしめるようにダイヤモンドをまわった。

「前の打席にチャンスで打てなかった悔しさがあった。チャンスだったので、なんとか取り返そうと思いました」

先制機だった2回は無死一、三塁で初球を打つも左飛。ミスショットで打球が伸びなかった。そのリベンジを誓って強振し、結果を出した。金本監督は「この球場で広島相手ですから、もう何点あってもいいと思っていた。9点取っても、この球場では安心できないですからね」と喜んだ。

右太ももの張りがあった福留に続いて、この日は糸井もスタメンから外れた。3、4番を欠く苦境で、若虎たちが奮起した。7番打者の中谷だけじゃない。8番梅野は先制適時打を含む2安打3打点。指揮官は「下位打線がね、(福岡工大)城東コンビ(梅野、中谷)でね。見ていて非常に頼もしかったですね」と梅野も絶賛した。「チャンスでね。(点が)取れるときに取っておかないと」と7戦連続となる先取点を振り返った梅野は、「自分たちがある程度、中堅になっている。年下の野手や投手も多くなってきたので、自分たちが引っ張っていくぐらいの気持ちでないと」と決意をにじませた。

終わってみれば18安打13得点の大爆発で広島戦3カード連続の勝ち越しとなった。これで通算200勝に到達した金本監督は「本当に鬼門だった」というマツダスタジアムでの快勝にほっとひと息。そして「今は甲子園が鬼門になっているから、甲子園で勝てるように。選手も甲子園で勝つことを意識してやってほしい」と今日23日からの巨人2連戦に目を向けた。CS圏内3位巨人との1・5ゲーム差は変わらないが、単独最下位は脱出した。残り16試合。スタメン復帰濃厚の福留、糸井に、ひたむきな若虎の力がかみ合えば、逆襲は十分可能だ。【真柴健】

◆今季の福留&糸井そろってスタメン落ち 7月1日ヤクルト戦、同31日中日戦の2試合。糸井は6月30日ヤクルト戦で右足に死球を受け、7月1日は欠場。右腓骨(ひこつ)骨折で抹消された。21日に1軍に戻ったものの完治とはいえず、31日は欠場となった。なおこの2試合とも、福留は休養で欠場していた。