素質あふれるロッテ中村奨吾内野手(26)が、ひとつ上のステージを狙う、きっかけをつかんだ。

2-2の同点で迎えた5回2死一塁、6号勝ち越し2ラン本塁打を放った。8月21日西武戦以来1カ月ぶりのアーチだった。真っすぐを待ちながら、うまくスライダーに対応。左翼席の中段まで運んだ。「同点の場面で打てて良かったです」。リーグの防御率1位の楽天岸からの一発だけに、価値ある決勝弾となった。

井口監督は、中村に助言を与えていた。「(打)率にこだわって、思い切りなかなか振れていなかった。そういう話を打撃コーチとしていた。もっともっと長打を打てる選手。その中で打率を上げていこうと話をしていた」。試合前の練習で、強打を連発する姿を確認。試合でも活躍を予感していた。

中村はここまでリーグ2位の35盗塁。初のタイトルを狙える位置につけている。一方で今季は主に3番打者を任されている。井口監督は「塁に出て盗塁を走りたいという気持ちがあって、なかなかフルスイングができていなかった。本人もようやく気付いてきた。その中でしっかりタイトルを狙ってほしい」。2度の盗塁王に輝きながら通算251本塁打を放った指揮官。打って走れる選手という理想像を追い求めることができる素質が、中村には備わっていると判断しているのだ。

中村も小さくまとまるつもりはない。「出塁を継続しながら、クリーンアップなので大きいのも打たないと」。昨年は盗塁のサインが出る機会が少なく、わずか11盗塁だった。今季は盗塁を増やせる自信があった。本塁打は昨年9本だったが、今季はまだ6号。目標を掲げれば、さらに成長していける選手だ。【斎藤直樹】