ヤクルトの石山泰稚投手(30)はいつも通り、スコアボードの9回に「0」を入れた。13球で完封リレーを締め、チームでは15年バーネット以来の30セーブ達成。「非常にうれしいですし、ここまでできるとは思っていなかった。中継ぎの人が回してくれるおかげです」と普段と変わらない表情だった。

ヤクルトの日本人選手に限ると05年の石井弘寿(現投手コーチ)以来、4人目。高津(2軍監督)、五十嵐亮、石井弘という偉大な先輩に肩を並べ「みんなすごすぎて、そこには(自分の名前が)入りづらいですよ」と恥ずかしそうに笑った。

投手に専念したのは金足農(秋田)入学後だが、小4で初めてもらった背番号は「22」だった。「大魔神」佐々木主浩氏(日刊スポーツ評論家)、ヤクルト高津、阪神藤川らが背負った守護神の番号。佐々木氏と同じ東北出身の石山は「初めての背番号が一緒だったから、佐々木さんのファンでした。今思うと守護神の背番号ですね。たまたまですけど(笑い)」と振り返る。大魔神に憧れた石山少年は時を経て、同じフォークを決め球とする燕の「守護神」になった。「毎日毎日、緊張して、大変だけど、やりがいがあります」。

セーブ数は、トップのDeNA山崎と2差。タイトルも視野に入るが「タイトルより、チームが勝つことが優先です」ときっぱり。15年以来のCS進出へ「1戦1戦、全力で悔いなくやっていく」と誓った。【保坂恭子】

▼石山がプロ入り初の30セーブ。ヤクルトで30セーブ以上は15年バーネット41S以来で、高津4度、林昌勇3度、バーネット2度、五十嵐1度、石井弘1度に次いで6人目。昨年のヤクルトは1、2点差の接戦で23勝42敗、勝率3割5分4厘と大きく負け越したが、今年は32勝21敗、勝率6割4厘。2点差以内の試合で23セーブを挙げている石山のおかげで接戦に強くなった。