富士大(北東北、岩手)の主将、楠研次郎外野手(4年=東海大相模)がリーグ新記録の10連覇とリーグ通算100安打を狙う。今日29日から始まる最終週(大館市田代野球場)の1回戦で6勝2敗の富士大が青森大に勝って、5勝3敗の八戸学院大(青森)が岩手大に敗れるか、富士大が10月2日(30日から順延)に連勝すれば優勝が決まる。また、通算97安打の楠は大記録達成まであと3本と迫っており、自らのバットでV10と100安打を、ダブルで達成する。

燃えない理由がない。常勝軍団をけん引する主将の楠が握るバットに、自然と力がこもる。1年春から定位置を確保し、2年春を除く6度のベストナインを獲得。北東北を代表する「富士大の安打製造機」が静かに闘志を燃やした。

楠 春の優勝は八戸学院大に3連勝が条件だった。秋はあと2つ勝てば優勝。そういう意味では全然違う。100安打もかかっているけど、チームの勝利が最優先。まず優勝しないと。

自らのバットでダブル達成を遂行するには、相手の四球攻めをかいくぐる必要がある。的確なバットコントロールと勝負強い打撃が持ち味の楠に対して、相手バッテリーは走者がいない場面でしか勝負してこない。8試合連続で通算17四死球で、16日の青森中央学院大戦は4四死球。出塁率は驚異の6割8分6厘をマーク。その分、今秋はまだ7安打しか積み上げられていないが、「チームが勝つには、塁に出ないと始まらない」。大学3年時から意識し始めた100安打達成について焦りはなく「運任せ」と笑い飛ばす。だが、「運をたぐり寄せる努力はしっかりしてきている」と目を光らせた。

夏の忘れ物を取り返す。春は宿敵八戸学院大に1敗も許されない崖っぷちから3連勝し、大逆転優勝を決めた。だが6月の全日本大学選手権はまさかの初戦敗退。全国でのリベンジを果たすには、既に出場を決めている明治神宮大会東北地区代表決定戦(10月27、28日、ヨーク開成山スタジアム)を勝ち抜く必要がある。「神宮に出るのを決めないことには、全国のことは語れない。まずはリーグ優勝してから、神宮、そして日本一」。ダブル達成を手土産に、全国で暴れ回る。【高橋洋平】