阪神が最下位中日に逆転負けを喫し、借金は13。今季の負け越しが決定した。4回まで2点をリードしたが、守備の乱れなどもあって中盤に試合をひっくり返された。追い込まれたチーム状況を象徴するように、8回には代打で出場した鳥谷敬内野手(37)が、2年ぶりに遊撃の守備に就くシーンも。3位巨人とは4ゲーム差となり、クライマックスシリーズ進出は風前のともしびとなった。

もはや万策が尽きた。1点ビハインドの8回裏。その直前、森越の代打に立っていた鳥谷がそのまま遊撃の守備位置に就くと、ナゴヤドームの左翼席がざわめいた。16年9月2日DeNA戦以来、2年ぶりにかつての定位置へ。レギュラーの北條が負傷離脱して以降、森越を先発起用し続けるが、苦肉の策が、チームの苦境を物語っていた。

引き分けを挟んで3連敗で、借金は今季ワーストの13に膨れ上がった。金本監督は鳥谷の遊撃起用について「(攻撃で植田の)代走もあるし、そういうのもあって行ってもらいました。最近、ノックはショートでやっていますから。やっぱり(遊撃も)行ってほしいけどね」と説明。用兵は思惑通りに行かず、シーズン負け越しも決まった。「明日、やるだけです」と力なく振り返るしかなかった。

もう、反発力は残っていないのか。歯車はまるでかみあわなかった。暗転したのは2点リードの5回だ。名手の遊撃森越が誤算だった。先頭大島が内野安打で出塁。二遊間を襲うビシエドの打球を森越が好捕したが送球が高くなり、一塁陽川が捕れず。無死一、三塁になり、再びアルモンテのゴロは遊撃へ。今度ははじいて足で蹴る格好になり、失点。さらにピンチを拡大し、同点を招く守備ミスを演じてしまった。金本監督も渋い表情で振り返った。

「今日は言えばキリがないし…。選手はやろうと思ってやっているわけじゃないし。一生懸命やったなかでのアレですから」

必死に守ってきた森越も痛恨の失策にうなだれる。「みんなに迷惑をかけた。次は守備や打撃でかえしたい」と一身に責任を背負った。北條が故障で、藤川もいない。手負いの状態で厳しい立場に追い込まれた。

今季限りで引退する中日荒木に打たれ、岩瀬に抑えられ、完全に引き立て役だった。最下位中日に逆転負けを喫し、クライマックスシリーズ進出は風前のともしびとなった。3位巨人と4ゲーム差に拡大。むしろ、最下位が0・5ゲーム差に迫り、今日29日に敗れれば自力でのCS進出の可能性が消える恐れがあり、再び最下位に転落する。ダブル危機の瀬戸際だ。残り12試合。せめてもの意地を見たい。【酒井俊作】

▼阪神が中日に敗れ、巨人がDeNAに勝ったため、今日29日に3位巨人が広島に勝ち、阪神が中日に負けると阪神の自力CS進出が消滅する。阪神が残りの巨人戦(1試合)に勝っても、それ以外の試合に巨人が全勝すると勝率で及ばないため。