両雄が並び立ち、西武打線の中心を担った。3番浅村栄斗内野手(27)と4番山川穂高内野手(26)。ONに並ぶ14回のアベック弾を決め、球団史上初の120打点コンビとして計241打点をたたき出した。2人は互いをどのように見つめ、結果を積み重ねてきたのか。最強のAY砲に迫った。

最強の3、4番は歓喜の瞬間を手応えとともに受け止めた。

浅村 1年間頑張ってきてよかった。主将として全て出来たわけでなく、反省すべきこともある。みんなのおかげです。

山川 つらい時期も多かったけど、自分の打撃が出来たと思う。優勝はどんな形でもうれしい。

山賊打線の中心を担ってつかんだリーグ制覇。そんな2人の土台にあるのは西武の猛者に脈々と流れる「俺が決める」の意識だ。

浅村 チャンスの場面で後ろに回せば、とは思わない。自分できっちり(走者を)かえして得点を挙げる。それが求められる仕事。

山川 自分の役割は打つこと。チャンスで浅村さんが倒れたり、歩かされたりしたら、よし俺が決める、と思ってきた。

自分が打つと腹をくくり、仕留めにいく。浅村の得点圏打率は、ここ5シーズンで最も高い3割6分9厘。山川は本塁打王争い独走の46発。「俺が」の意識は数字にも表れるが、ともすれば、つながりを欠く危険性もはらむ。そのリスクを防げたのは主将に目覚めた「自覚」と、覚醒した4番の「自信」だった。

浅村は言う。「山川にはプレッシャーがかからない形でなるべく打たせたい。少しでも楽な状況で回せれば、と思っている」。状況によっては進塁打狙いの右打ちもいとわない。山川は、好機で浅村が走者をかえした後の打席が「一番いい。浅村さんが打った後、『続きまして』が自分」と思えるようになった。結果を積み重ねてきたからこそ、生まれた感覚だった。

両者がなぜ、そう思えるようになったか。口をそろえて言った。「その方が勝つ確率がグンと上がるんですから」。浅村が打点を挙げた直後の山川は79打数27安打、11本塁打、28打点。2者連続本塁打はプロ野球タイの6本を誇る。

「俺が」という獅子の源流にフォア・ザ・チームがまぶされる。それが今季チームが目指した「750得点」超えを支えた。互いが「ライバル心はある」という3、4番が紡ぎ出した241回の生還。キャプテンは「アグー(山川)と自分がもっと結果を残せばいい形になると思っていた。今年はそれが出来つつあるのかな、と思う」と手応えをにじませた。その山川は「あと2年、40本を続けられたら本当の4番になれる」と決意を示した。

選手ロッカーは隣同士で守備位置も一、二塁。そんなAY砲という若き軸が、西武の歴史に新たな1ページを加えた。【佐竹実】