金本阪神が今季ワーストといえる完敗で3位DeNAに4ゲーム差をつけられ、逆転でのCS進出がますます厳しくなった。今季最少の1安打完封負けで投手陣は10失点。6連敗の甲子園借金は17まで膨れ、ファンからは「気合を入れろタイガース!」の大合唱も起った。金本知憲監督(50)も「申し訳ない」とざんげしたが、最短4日にもCS進出が消滅。このまま終戦してしまうのか。猛虎の意地はないのか。

甲子園のスコアボードは淡々と「0」が刻まれていく。黄色く染まる右翼席から、切なすぎる大合唱がこだました。「気合を入れろ、タイガース!」。DeNA先発浜口に抵抗できず、6回も2死走者なし。福留が打席に向かうと、やるせない思いが噴き出た。すでに0-5のワンサイドゲーム。7回も気合コールを連呼するが効果なし。今季12度目の完封負けを喫した。

貧打&投壊のWショックだ。金本監督は「見ての通りですね。打てないし。打てなかった、打たれてしまったというので…」と声を絞り出した。チームは再び今季最多タイの借金13だ。3位DeNAと4ゲーム差に拡大。最下位中日が1ゲーム差にひた迫り、クライマックスシリーズ進出は絶望的だ。惨敗し「何とかモチベーションを上げてね。ファンのためにも申し訳ないし。何とかいい姿を見せて欲しい」とざんげした。

躍動するはずの聖地が、悲しすぎる鬼門になっている。本拠地では引き分けを挟んで6連敗。実に今季19勝36敗2分けの借金17に膨れ、78年に並ぶ40年ぶりのワースト記録…。歴史的失態を重ねている。打てない、抑えられない。バットはこの日も湿ったままだ。糸井が負傷離脱し、この日は高山を先発に抜てき。だが、特効薬にならず、今年は過去2戦の対戦で防御率7・56と打ち込んでいた浜口に歯が立たなかった。5回は高山が空振り三振し、中谷は内角速球に見逃し三振…。球威に押されっぱなしで、金本監督も力なく振り返った。

「浜口も良かったかも分からんけど…。ちょっと勢いをつけたかったんだけどね。封じ込まれたというか」

投打の歯車はかみ合わない。岩貞も立ち上がりに失点し、5回は2死からソト、ロペスに連続被弾。1球目、2球目だった。岩貞も「いい打者で、警戒しなければいけない打者」と細心の注意を払ったが、不用意な結果を招いてしまった。この回の4失点が致命傷。金本阪神3年目はいよいよ土俵際に追い詰められた。早ければ4日にも、CS進出が完全に消滅する危機を迎えた。【酒井俊作】

▼阪神の完封負けは今季12度目。1安打負けは金本監督就任後初で、15年8月18日巨人戦(東京ドーム)でマイコラスに完投を許し1-8で敗れて以来。甲子園では、12年5月4日巨人戦で杉内に完封され、0-4で完敗して以来の屈辱となった。